脱原発デモが毎週国会議事堂前で行われるなど、日本のエネルギー政策に関心が高まっているが、政府の中長期エネルギー政策では2030年時点で、原発依存度に関係なく、再生可能エネルギーの比率を30%にしている。
このうち水力発電が約9%だから、水力以外の風力、太陽光、地熱などの再生可能エネルギーで約20%ということになる。それに対し、大前研一氏は風力、太陽光では安定供給に大きな問題があると指摘する。では、地熱発電はどうなのか。大前氏が解説する。
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風力や太陽光に比べ、地熱発電は最も有力で現実的な再生可能エネルギーだ。火山国の日本は、地熱発電の潜在能力が世界第3位であり、しかも地熱は稼働率が85%で、水力と同じように電力の安定供給ができる。
地熱をすべて開発すれば、その発電量は原発18~20基分に相当するといわれている。半分開発したとしてもそれだけで日本の電力需要の10%弱を確保できる。
ところが日本の場合、地熱発電は他国よりも開発が遅れている。その理由は、候補地の約8割が国立公園内に集中しているため、環境への悪影響が懸念されたことと、地熱開発により温泉が涸れることを危惧する温泉業者の反対があったからだ。
この問題の解決策として私は細野豪志環境・原発事故担当相に、国立公園内でも規制しないこと、地熱発電所を一つずつ株式会社化し、その株を地元・温泉業者にも持たせ、株主としてのメリットが享受できるようにすることなどを提案している。そうやって地熱発電所の設置を容易にし、フルに開発していくべきだと思う。
※週刊ポスト2012年8月17・24日号