インターネットの掲示板で、あるいは実際のデモなどで存在感を高めるネット右翼たち。ジャーナリストの櫻井よしこ氏は、彼らの怒りに期待しつつも、歴史を学ぶべきだと語る。以下、櫻井氏の提言である。
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政治の世界でも日本人としての誇りと美徳をもった真の保守政治家は少なくなりました。ネット右翼と呼ばれる人たちが増えているのは、若者たちが政治家や日本国のあり方に、はがゆさを感じているからかもしれません。
とすれば、彼らには期待できる部分もあります。彼らが「怒っている」からです。
怒りは人間にとってとても大切な感情です。怒ればこそ、現状を打破しようとするエネルギーが生まれます。怒ればこそ、なぜこんなことになるのかと考え、学びを深めていくことにもなるからです。
怒りが、正しい歴史認識や国際社会に対する理解の裏付けと合体すれば、本当の意味で現在の日本の欠点を正し、よりよい国づくりを実現し、国を守る方向に世の中を動かすことができるでしょう。
ネット右翼と呼ばれる人たちはその点で謙虚に学びさえすれば、「本当の保守」を実現できるのではないでしょうか。未熟なままで暴走してほしくないと、心底、思います。
当然、日本国政府として、憲法を改正し、若い人たちへの教育を根本から変え、充実させていくことが必須です。若い世代に国家や日本人、日本の価値観や文化などを正しく伝えていく責任を果たさなければ、国家も政治家も言論人も、存在意義はありません。
ネット右翼と呼ばれる人たちもまた、もっと勉強して、近い将来、真の保守として、日本を復活させていく役割を担ってほしいものです。私は彼らの意欲に期待します。
※SAPIO2012年8月22・29日号