「中国人民解放軍が世界中の通信網の80%を傍受している」と米国防総省の安全保障問題に関する上級アナリストが分析していることが分かった。こうした現状が続けば、重要な軍事、安全保障、経済など西側の重要情報が中国軍に筒抜けになるため、米議会や国防総省など米政府の主要機関が警戒を強めていると米保守系ニュースウェブサイトWNDが報じた。
それによると、中国の国有大手通信メーカーである華為科技や中興通訊(ZTE)は中国人民解放軍との結びつきが深く、実際、華為の創業者、任正非氏は解放軍出身であり、ZTEも中国の軍系国有企業の情報・通信部門との関係が強いことで知られる。
このため、米国家安全保障局は2009年末、華為から通信機器を購入しようとしていた米通信大手AT&Tに対し、同社の製品は中国軍や情報機関の通信傍受活動に悪用される可能性があり、取引しないよう警告していたといわれる。AT&Tは結局、スウェーデンのエリクソンなどから通信機器を購入した。
また、米議会下院の情報問題常設特別調査委員会は昨年11月、華為やZTEを含む中国企業によって米国のセキュリティと通信インフラが脅威にさらされていると報告。同委員会のマイク・ロジャーズ委員長は「中国企業が米国のさまざまなネットワークに侵入し、重要なインフラに脅威を与え、数百万ドルの価値を持つ知的資産の機密情報を米国企業から盗み出している。これは米国の安全を危機に陥れ、米国の市場競争力を傷つけ、米国の雇用に莫大な損失を与える」と強く警告した。
同委員会が中国製の通信機器の使用状況を調査した結果、中国製品は世界140か国の通信施設に採用されており、世界の大手通信機器メーカー50企業のうち45社が中国製品を使用していることが明らかになった。
仮に傍受機能を持つ部品が中国製品に仕組まれていれば、全世界の通信情報の80%を盗聴できると試算している。
同委員会では「米国の国家機関などが中国製品を使っていなくても、欧州やアジアの米国の同盟国から米国の安全保障に関する情報が漏れる可能性がある」としている。
さらに、米軍のミサイル防衛システムや情報通信システムなど米軍の軍事利用目的の機器から1800個もの中国製の偽部品が発見された。このため、米軍や安全保障関係の機関、米商務省は中国製の一部の通信機器や部品などの輸入を禁止する措置をとったという。