国際情報

“慰安婦性奴隷説”を言い出したのは職業的反日日本人の男

 慰安婦問題が広く知られるようになって20年以上が過ぎた。第2次世界大戦時、日本軍が慰安婦を強制連行したとの「説」はその後の調査研究によって、事実ではないと結論が出た。しかし、残念なことに、勉強不足から慰安婦問題については韓国側の主張が「正しい」と信じている日本人も少なくない。東京基督教大学教授の西岡力氏が慰安婦問題の捏造について語る。ここでは慰安婦性奴隷説について解説する。

 * * *
 慰安婦性奴隷説を最初に言い出したのは誰かという点から確認したい。それは吉田清治という職業的反日日本人だった。韓国から出た話ではないのだ。

 1948年に就任した韓国の初代大統領は独立運動家出身の李承晩博士だった。李政権は日本と国交正常化交渉を持った。その際、出来るだけ多額の戦後補償金を日本から取ろうとさまざまな名目で請求した。そのリストが8項目の「対日請求要綱」(1951年)だった。

 そこには「戦争による被徴用者への補償金」は挙げられていたが、慰安婦に対する補償は入っていなかった。大多数の韓国人が植民地時代の実態を知っているその時期には、いくら反日政策を掲げる李承晩政権でも、慰安婦に関して外交交渉でカネを取るなどということは考えなかったのだ。

 性奴隷説は1965年の日韓国交正常化のときも出てこなかった。1983年に吉田清治が『私の戦争犯罪 朝鮮人強制連行』(三一書房刊)という本を出して初めて性奴隷説が誕生する。吉田は1943年に軍から朝鮮人女子挺身隊動員を命令され、済州島で日本軍人らを引率し、若い未婚女性や赤ん坊を抱いた母親を駆り立ててあたりかまわずトラックで連行し、レイプしたという「体験」を語ったのだ。吉田の著書は1989年に韓国語で翻訳出版された。

 実は現地の『済州新聞』の女性記者が現場を取材したところ、住民らが口をそろえてそのようなことはなかった、吉田は嘘をついていると語っていると1989年8月14日同紙に書いている。しかし、済州新聞の記事はほとんど注目を集めず、日韓の歴史学者や反日運動家らの中で性奴隷説が静かに拡散していった。これが前史だ。

※SAPIO2012年8月22・29日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

30歳の誕生日を迎えられた佳子さま(時事通信フォト)
《姉・眞子さんが結婚した30歳に…》ご公務が増える佳子さまに「結婚に向けたラストスパートに見える」との指摘も
NEWSポストセブン
フジテレビの社長を辞任することを発表した港浩一氏(左/時事通信フォト)
《X子さん強制参加の誕生日会》フジ・港浩一社長が語った“編成幹部A氏関与”と「楽しませていただいてありがたかった」「思いが至らなかった」
NEWSポストセブン
SNSでの誹謗中傷を許さないという思いがある美智子さま(2025年1月2日、東京・千代田区。撮影/黒石あみ)
美智子さまの側近としてサイバー犯罪捜査のスペシャリストを招聘、SNSでの誹謗中傷も影響か 宮内庁はインスタによる広報を充実させるべく前年比10倍以上の予算計上
女性セブン
会見前の会場の様子
「いつまで続くのか?」フジテレビやり直し会見…終わる時間をめぐり現場スタッフが涙目の大混乱「月9ドラマは放送休止も視野」「月10ドラマは関西テレビが放送を希望」
NEWSポストセブン
韓国の尹錫悦大統領(左)と妻・金建希夫人(時事通信フォト)
“美人すぎる”と話題になった尹錫悦大統領夫人が「次の捜査ターゲット」に 現地では「国外に逃亡するのではないか」との説も
週刊ポスト
港社長、中居正広氏の
《とんねるず石橋貴明、直撃にショック隠せず》盟友・中居正広は引退、“育ての親”港社長は辞任「フジテレビを滅ぼすなよ」と歌った過去
NEWSポストセブン
渦中の被害者X子さんは港浩一社長(左)の「誕生日会」にも強制参加(時事通信フォト)
《フジテレビ問題》女性アナが参加する“港社長の誕生日会”に渦中の被害者X子さんが出席させられていた 会見時の「ないと信じている」発言に呆れる社員も
週刊ポスト
佐々木朗希のストレートに大きな異変が(写真/MLB公式Xより)
ドジャース入団・佐々木朗希の“球速が落ちている”深刻な懸念 SB元投手コーチが指摘する原因「大切に育てられすぎたツケが顕在化した」
週刊ポスト
24時間利用可能で人気を博す『エニタイムフィットネス』(AFP=時事)(本人Xより)
《丸出しサンタコスで若い女性がトレーニング》24時間ジム内で過激な動画を撮影してSNSに投稿…『エニタイムフィットネス』は「強い憤りを覚えます」「然るべき対応を行っていきます」と回答
NEWSポストセブン
水原被告の量刑は大谷次第か
「いつか子供を持ちたい」「デコピンの世話までしていた…」水原一平被告が明かした妻への感謝と罪悪感【裁判所に減刑求める申立書を提出】
NEWSポストセブン
”地元愛”を貫いてきた中居正広(52)。藤沢市の人たちは今なにを思うのか──
《中居正広(52)電撃引退》〈めんどうを見なければならない〉卒業文集でみせた“リーダーの萌芽” と幼少期の可愛すぎる“アイドルスマイル” 地元から厳しい声も
NEWSポストセブン
フィジーが「強制送還」と判断した問題の2人(自身のインスタグラムより)
《金髪美女インフルエンサー(25)乱倫パーティー動画が拡散》“母親同伴”で参加した19歳青年の末路…「服を着なさい!」と一喝されて
NEWSポストセブン