夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せられたのは、ご主人(55歳)が薬品メーカーに勤務の奥様(55歳)。若い頃のご主人は亭主関白だったそうです。
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昔の主人は体力がありましたし、ベッドでも私を堪能させてくれました。家事は全て私の役目で、主人が手伝ってくれるのは、部屋の模様替えぐらいでした。
ところが50歳近くなってからは、模様替えの翌日に「腰が痛い、湿布薬をくれ」といい、小声で「オレも年を取ったのかなぁ」とつぶやき、ため息をついていたことがありました。その時、ひらめいたんですよ。「年だと観念させて、形勢逆転、私の天下にしよう」って。
朝、起きてきた主人の股間を見てキツ~い一発を投げかけました。「昔と違って全然元気ないじゃない!」「えっ、そうかな?」「そうよ。男としてもう終わったのね」ガックリとうなだれる主人。ちょっとキツ過ぎたかなと思ったら、その日は「ゴミ出しはオレがやるよ」って、アラ~、さっそく効果あったんだわ!
それ以来、「厨房になんか入れるか!」といっていた主人が「食器はオレが洗うよ」と、積極的に家事を手伝ってくれるようになったんです。ただ、「雀百まで踊り忘れず」で、たまに昔の亭主関白ぶりの言動が出てくる時があるんですよね。そんな時は一句一句、区切りながらいってあげます。「アナタはね、もう、男として、終わったの!」って。
※週刊ポスト2012年8月31日号