今年は“氷点下のビール”戦争が加熱していると各所で報じられている。キリンビールが「一番搾りフローズン生」として、通常の生ビールの上に、シャーベット状に凍らせた泡を盛り付ける飲み方を提案。さらに全国6カ所に「一番搾り FROZEN GARDEN」をオープンさせた。
キリンビールが参入したことで、改めて注目を集めた“氷点下のビール”だが、アサヒビールは2010年から「エクストラコールドBAR」を展開している。
■ビールを新しいスタイルでお客様に飲んでいただくという情報発信
若者のビール離れなどといわれがちだが、アサヒビール(株)マーティング本部の木村さんは、「スーパードライという定番商品があるなかで、そこに付加価値をつけ、いろいろな提案をしていくことが大事」という。
「今は、新しい娯楽も増えてきており、お客様が仲間とコミュニケーションを深めるための手段の選択肢が増えてきており、競争が激化している。その中で、仲間とコミュニケーションを深めるための手段としてお客様にお酒を選択していただくためには、新しいご提案をしていく必要があります」(木村さん)
飲むなら楽しく――そもそもお酒が「嗜好品」というカテゴリにあることを考えると、むしろ若者の“原点回帰”ともいえる。その意味で、例えば音楽がいろんなスタイルで楽しむことができるように、アルコール、ビールもいろんなスタイルで楽しむことができていい。
「エクストラコールドBAR」もその“新しいスタイルの提案”の一つ。「冷たいビールというのは、お客様のニーズ」という木村さんは、「特に女性の方から、エクストラコールドは飲みやすいという声を多数ちょうだいしています。これまではビールをマイナス温度で飲むということは一般的ではなかったかもしれませんが、今はだいぶ浸透してきています」と、新しいスタイルでの飲み方が浸透してきていることを実感する。
エクストラコールドBARでは、今年から「ドライブラック」も提供。アサヒビールだけでなく、“ブラック”ビールは今年、各社が競争を繰り広げているが、「これもビールの楽しみを広げるご提案の一つ」(木村さん)。特に若い世代にとって、ドライブラックの“キレと爽快さ”が好まれるのかもしれない。
そんなアサヒビールの努力は着実に実を結びつつあり、2010年の来店者数は約4万人(東京のみ)、2011年は約13万人(東京・名古屋・大阪・福岡)、そして今年は8月末時点ですでに13万人以上が来店している。
なお、「キリン 一番搾り FROZEN GARDEN」は8月31日まで、「アサヒスーパードライ エクストラコールドBAR」は9月30日まで(福岡は9月17日まで)。まだまだ続くこの猛暑を“氷点下のビール”で乗り切ってみては?