球界屈指の人気球団である阪神タイガースが苦しんでいる。8月24日現在、首位と25ゲーム差の5位。ここまで低迷した以上、監督の責任問題になるのは当然だ。OBの広澤克実氏は、こう断を下す。
「最近の一、二軍登録でも、似たような選手の入れ替えばかりで意味がない。来季を見据えて若手を使うでもなく、場当たり的で意図が見えない。このままでは今季だけでなく、来年やその次まで、修復が不可能になってしまう」
が、阪神に和田監督の首を切る気配は見 られない。その代わりに発表したのが、初のGM制度の導入だった。就任が内定したのはOBの中村勝広氏。中村氏はオリックスでも監督や球団本部長、GMを歴任して「チーム改革の調整力」を評価される人物だが、あるスポーツジャーナリストはこの人事の狙いをこう分析する。
「生え抜きである和田監督を1年で解雇するのは体裁が悪い。ここは阪神OBの中村GMを招いて批判を分散させつつ、和田監督ではできない金本、城島、桧山といったロートル切りの任を押し付けようというフロントの思惑が見えます。中村氏は和田監督の同郷(千葉)の先輩で相談役にもなるし、もし来季もダメなら、オリックス人脈で、解任の決まった岡田彰布氏を阪神に取り返すこともできる」
結局、問題の先送りとしか思えない状況なのだ。前出の広澤氏が語る。
「CSを最後まで諦めないなどと美談仕立てする必要はない。もはや目先にとらわれず、今から来年の準備をするべきです」
OBにも見捨てられた阪神。トンネルの出口は見えない。
※週刊ポスト2012年9月7日号