西川文二氏は、1957年生まれ。主宰するCan! Do! Pet Dog Schoolで科学的な理論に基づく犬のしつけを指導している。その西川氏が、飼い犬の「遊び方」について解説する。
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先日、大学時代からの友人に、酒の席で相談を受けまして。内容はっていうと、「犬友達の3歳のプードルが、昔から遊んでた6歳の柴犬と最近遊ばなくなっちゃって。どうすればまた昔みたいに遊ぶようになるのかって、飼い主が悩んでいる」ってもの。
犬は確かに我が子のようなもの。「人間の幼子達のように無邪気に遊ぶ姿が見たい」って気持ちはわかりますけどね、少し考えてみてくださいな。3歳の犬って、肉体的、精神的な成熟度でいえばアラサー、柴犬の方はアラフォー。ま、人間ならおっさん、あるいはおばはんですわ。誰とでも、ワーイ、遊ぼ、遊ぼ、って年齢じゃない。
実は私、地域の子ども達にスポーツも指導しておりまして、彼らを見ているとよくわかる。練習前などに子ども達は、鬼ごっこやボール遊びなんかをよくしている。10歳以下の子ども達は間違いなく新入りでもすぐに打ち解けて遊ぶ。しかしですな、年齢が上がるにつれ、コレ、少しずつ積極的に遊ばなくなってくる。
犬も同じってことですわ。社会性の高い動物たちは、子どもの時期に、コミュニケーションの方法を身につけるために積極的に誰とでも遊ぼうとする。だけど、ある時期を過ぎると、子ども同士のような遊びは、少しずつ減っていく。
質問の犬も、他の犬と以前ほど遊ばなくなったって、心配には及ばない。こやつも落ち着きのある大人になったモンだ、って理解すればいい。
※週刊ポスト2012年9月7日号