今年の5月から6月にかけて、国民の大きな関心事は原発の再稼働と節電との兼ね合いの問題だった。しかし、本当に再稼働は必要だったのか? 東京新聞・中日新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏が解説する。
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夏の終わりが近づいてきた。政府や電力会社は「原発を動かさなければ停電が起きて日本経済が大混乱する」と強調し、追随したマスコミも多かったが、夏の実績を見ると、それは脅し文句にすぎなかったようだ。
典型は関西電力である。同社は5月時点で需要が約3000万kWに対して供給力は2500万kW強しかなく、約15%足りないと言っていた。
ところが、8月9日に開かれた大阪府市エネルギー戦略会議の資料によると、6日時点でピーク時供給力は再稼働した大飯原発を含めて3000万kW強だったのに対して、使われた電力は2600万kW強にとどまっている。
大飯3、4号機の供給量は合計236万kWだから、その分を差し引いても電気は十分足りていた計算になる。さらに互いに融通可能な西日本6電力でみると、約1000万kWも余っていた。つまり「原発を動かさなくても大丈夫」と証明された格好だ。
※週刊ポスト2012年9月7日号