今年3月、東京都と首都圏の鉄道会社24社が貼り出した1枚のポスターがある。そこにはこんなキャッチコピーが書かれている。
〈赤ちゃんを守るのは、みんなの思いやりです。〉
このポスターは、“赤ちゃんを育てやすい環境作り”のキャンペーンの一環だったが、都営地下鉄・バスを運行する東京都交通局には批判的な声も寄せられた。
「車内でベビーカーに足をぶつけた」
「ドア脇を占領されて、手すりが使えなかった」
他の鉄道会社や都にも、「ベビーカーをたたもうというポスターを作ってほしい」「ポスターがあるから、厚かましい利用者が出てくる」などの声が寄せられたという。
インターネット上では、「母親に注意を促すべき」「いやいや、周囲の人に促すべき」などの意見がいまだ飛び交う。女性セブンの取材にも、こんな意見が。
「乗降口側にベビーカーを置き、子供に関心を払わずに携帯をいじっている母親がいた。周囲に気配りなく、邪魔だった」(52才・公務員)
「連休の混み合う車内で、両親が子供を抱っこして座り、ベビーカーは荷物を乗せたまま広げていた。混んでいるとき、荷物は膝の上、ベビーカーはたたむべき」(46才・会社員男性)
一方、2才の子供を育てている母親(32才・会社員)からはこんな意見も。
「ベビーカーで寝てしまった子供を起こしてたたむとなると、ギャン泣きされてかえって迷惑がかかる。病院に連れて行くときなどは混雑している電車に乗らざるをえないこともあります。経済的にもマイカーなんて無理だし、頻繁にタクシーに乗るわけにもいかない。でも、やっぱり舌打ちされたりするとへこみます。個々の事情もあると、理解してほしい」
ちなみに、ギャルママモデルでママサークル連合の総代表・日菜あこさん(28才)は、こう話す。
「今は、“ママなんだから外出を控えろ”という世の中ではなく、特に小さい子供が複数いたら、ベビーカーなしの移動は考えられません。もちろん、混雑しているときには電車を見送ったり、ラッシュの時間をずらすようにしています。
大勢で出かけるときは、別の車両に乗り分けたり。若いと厳しい目で見られるので、かえってみんなちゃんとしている人が多いと思います。でも、子供がぐずったらと冷や冷やします。気を使っているつもりでも、必ずしも周囲の目が温かいとは限りません。子供優先車やベビーカースペースも検討してほしい」
※女性セブン2012年9月20日号