共産党による独裁のもと、経済成長を推し進め、極限にまで肥大化した中国に大きな病巣が広がっている。そして共産党の一党支配にも陰りが見え始めた。ジャーナリストの富坂聰氏が報告する。
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中国共産党から権力を?奪する大きなうねりとなっているのがインターネットである。中国版ツイッターと呼ばれる「微博(ウェイボー)」などを中心に政府批判が噴出しており、もはや中央政府はすべてを抑えきれなくなった。そこで中央が下した決断とは、地方政府の切り捨てであった。
中国共産党はネットの監視に力を入れているが、その機能はすべて中央が握っている。一方で地方は一切のツールを持たない。中央は自身への批判は徹底的に削除するが、地方政府への批判については容認している。
高級レストランで地方の役人が食事をしていれば、瞬く間に微博で告発され、写真もアップされる。24時間監視されているようなものだ。
また、日本でのツイッターとは違い、微博では既存メディアの記者が発信しているケースが多く、正確な情報が多い。「地方役人の机の上に高級葉巻があった」など、役所内部に入らないとわからない情報も書き込まれる。
民衆にとって格好の攻撃対象となった地方政府はボロボロになる可能性がある。これは地方の活力を奪い、ひいては民間経済の力も削ぐことになる。中央政府という頭脳だけが延命を図ろうとすれば、きめ細かい血液の供給はできなくなる。そうして中国という巨躯の四肢は壊死していくのだ。
※SAPIO2012年9月19日号