欧州債務危機の再燃や米国景気の回復の遅れ、それを背景とした円高の加速などの要因で、日本株も苦しい展開が続いている。そうしたなかで、どんな投資戦略をとるべきか。カブ知恵代表取締役・藤井英敏氏が解説する。
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全体相場がこれからよくなるのであれば、叩き売られて安くなっている主力大型株のリバウンドを狙う手も悪くない。しかし、全体相場が悪くなる可能性が高いと予測される今のような状況下では、外国人投資家にさらに売られる懸念のある大型株は買わない方が得策だ。
現在の相場環境を考えると、買ってはいけない株と買っていい株がはっきり見極めやすい状況になっている。ただし、買っていい株というのは、圧倒的に数が少ないのが現状だ。まず、円高が止まらない限り、輸出関連などの外需株、特に電機・ハイテク株はアンタッチャブルだ。地域独占まで崩れそうな電力株、コンプガチャ問題でミソをつけたソーシャルゲーム関連株も買ってはいけない。
一方、買っていい株とはどんな銘柄か。「政策に売りなし」という相場格言があるように、政府が肝煎りで進めようとしている政策に関連した企業は、相場の主役になって値上がりする可能性が高い。
7月31日、日本政府は2020年までの成長戦略を盛った「日本再生戦略」を閣議決定した。その中で重点的に予算を配分すると決められた医療・介護、環境・エネルギー、農林水産業の3分野が筆頭格に挙げられる。
ただし、環境・エネルギーは、地球温暖化やエコをテーマにすでに大きな相場をやってしまっていて、マーケットは飽きている。農林水産業は銘柄が少ない上に、政策の具体的ビジョンが見えないので物色しにくい。したがって、マーケット的に一番期待できるのは、医療・介護ということになる。
仮に政権交代で見直しがあっても、今後も少子高齢化は加速するので、この分野には大きな資金流入が期待でき、株価の上昇余地も大きいと思われる。もちろん、銘柄の絞り込みは必要で、医療・介護関連でもインデックス売買の悪影響が考えられる時価総額の大きな銘柄は避けた方が無難だ。
時価総額が1000億円以下、さらにいえば500億円以下の小型株から銘柄を探すのが最も望ましい。それから、業績面をチェックして、足下は黒字で利益成長が続いているものを選べばいいだろう。ただし、バイオ関連は赤字決算でも問題ない。
※マネーポスト2012年秋号