チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が今年秋の中国共産党大会後に発足する中国新指導部に期待を表明した。中国指導部に近い知識人がチベット亡命政権のあるインド北西部ダラムサラまで、ダライ・ラマと会いに来るなど、「すでに、チベット政策で変化が見え始めている」と言うのだ。
ダライ・ラマはこのほど、ロイター通信の単独インタビューに応じ、「たくさん中国人の友人がいるが、彼らは近く発足する中国共産党の新しい最高指導者はダライ・ラマ側との話し合いに応じるつもりだと話している」と述べて、次期最高指導者、習近平国家副主席がチベット側との対話再開の準備を進めていることを明らかにした。
ダライ・ラマは習副主席ら新指導部について、「彼らは極めて現実的だ。自分たちの利益になると判断すれば、対話も再開するだろう。わたしたち(ダライ・ラマ側)は彼らに協力するのはやぶさかではない」と説明した。
そのうえで、ダライ・ラマは「対話も再開当初は公式的なものではなくて、非公式な協議になるかも知れないが、それはそれで、これは非常に勇気づけられるサインだ」として中国側との対話再開に強い期待を示した。
これらの情報はダライ・ラマと会った多くの中国人の友人が伝えてくれたもので、そのなかに習近平に近い「知識人」も含まれているというが、ダライ・ラマはその具体的な人物像について、笑いを交えながら「これは国家機密だ」として言及を避けた。
ダライ・ラマ側と中国との交渉が再開されれば、2009年1月の第9回交渉以来だが、ダライ・ラマは再開の時期について「時期を特定するのは難しいが、新指導部が発足して半年から1年の間ではないか」との見通しを明らかにした。