14日の16時から予約受付開始となった「iPhone5」。既にネット上ではニュースサイトやユーザーによって様々な情報があげられているが、通常の料金プランよりも値引きになるプログラムを発表して注目を集めているのは、ソフトバンクモバイル(以下ソフトバンク)だ。
ソフトバンクは、2007年にソフトバンク契約回線同士の通話が基本使用料980円で無料となる音声通話定額プラン「ホワイトプラン」を実施。その後「安さといえばソフトバンク」というイメージをユーザーから持たれるようになった同社は、業界全体の料金プランの低価格化を牽引してきた。
誰もが気軽にiPhoneを使えるように取り組んできたわけだが、今回のiPhone5発売においてもユニークな提案を行なった。それが、“下取りプログラム”。これは、iPhone5(もしくは、iPhone4S)を購入した消費者を対象に、それまで利用していた機種を下取りするという内容。例えば、iPhone 5 に機種変更した場合、iPhone 4S を12000 円(1000 円×12 ヶ月)、iPhone 4 を8000円(1000 円×8 ヶ月)で下取りし、毎月の利用料金から割引する。申込期間はiPhone5発売日である2012 年9 月21 日から、11 月30 日までのおよそ2ヶ月間。
対象機種はiPhone4S・4 から開始し、今後他機種への拡大も検討していく予定とのことだが、このプログラムが実際された背景には、いわゆる“2年縛り”があると思われる。分割支払金などを払わなければならないことから、機種変更を躊躇させがちなこの“2年縛り”。
今回の“下取りプログラム”はその負担を軽減させるもので、「まだ2年経たないし…」と機種変更を見送ろうとしていた既存ユーザーを確実に取り込む戦略だ。
なお、今回両社の大きな違いとして注目されているのがauだけが対応した「テザリング」。これによってユーザーが流動するとみられているが、請求月内の通信量が7GBを超えると速度制限がかかるほか、テザリング中に電話が着信すると、テザリングは切断される。つまりテザリングと通話は同時利用できないため、テザリングを魅力としてau版のiPhone5を契約するときには注意が必要である。
料金プランでは、auの「4G LTE」のパケットプランは5985円。一方ソフトバンクは、「Softbank 4G LTE」のパケットプランとして、月額5985円の「パケットし放題フラット for 4G LTE」、段階制で月額2100円~6510円の「パケットし放題 for 4G LTE」の2種類。
いずれも請求月内の通信量が7GBを超えると速度制限がかかるが、両社ともiPhone 5用には特別料金プランが用意されている。auは2012年12月31日までの申込で、通常毎月525円かかるテザリング料金を無料にし、「LTEフラットキャンペーン(i)」として月額5460円。ソフトバンクは「パケット定額 for 4G LTE」で、auと同じ月額5460円(申込期限未定)を設定しているが、大きな違いは7GBを超えた場合の速度制限だ。
au版では請求月内の通信量が7GBを超えると速度制限がかかってしまうのに比べ、ソフトバンクでは「無制限」のプログラム。これも常に他社を意識してきたソフトバンクが、auを意識した価格を決断したものといえるだろう。
機能面で“攻め”たいauと、既存ユーザーを大切にしながら進化を続けるソフトバンク。両社の姿勢が分かれたiPhone5――値下げのみの競争時代はそろそろ終了し、それぞれの戦略が求められていることがうかがえる。
(※情報はすべて9月16日16時時点)