「ケンちゃん」として絶大なる人気を誇った元子役の宮脇健氏(51)は、過去、テレビで人気が出るあまり、家族と一緒にいる時間が少なかったという。宮脇氏が「幸せ子役」とはどのようなものかを語る。
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僕の場合、母親は私に付きっきりだから兄貴は寂しかったでしょう。家の御飯は店屋物ばっかりだったそうです。父親は教師でしたが、だんだん家に帰らなくなり、そして外に女を作った。結局、僕が20歳のとき両親は離婚しました。
子役の親は、子供に期待し過ぎないほうがいい。子役は子供の思い出作りと割り切るべきです。大人になるにつれて顔は変わる、声は変わる。どこかで視聴者のイメージとのバランスを調整しなきゃいけない。周りの大人が考えてあげないとただの使い捨てですよ。
人気に陰りがでると、スタッフの扱いも変わる。それまで“ケンちゃん”だったのが、“お前”に変わるときの悔しさったらない。仕事のオファーがなくなると子供なりに苦しみます。そこで受け止めてくれる家族さえいればぐれたりはしません。でも僕の場合は……。
ケンちゃんブームが去って35年。いま思うのは、僕は大人のロボットだったってことです。最近、フェイスブックで中学の同級生17人と繋がって同窓会を開いたんです。僕はこんな生活だから友達もいなくて、自分のこともイジメられっ子だと思っていた。でも会ってみると、“ケンちゃん”は彼らの誇りだったと聞かされました。
最近は当時の友達と会っている時が心地いいんです。失われた時間を取り戻す日々ですね。
※週刊ポスト2012年9月21・28日号