尖閣諸島の国有化に対して先鋭化した中国各地での反日暴動デモ。暴力や略奪行為などに報道の焦点があてられがちだったが、参加者たちの思いは人それぞれだったようだ。ジャーナリストの相馬勝氏が現地で見た参加者たちのプラカードから彼らの思いをレポートする。
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「日本のAV女優も愛するが、釣魚島(尖閣諸島)はもっと愛する」――。
香港や中国大陸のデモでは信じられないようなスローガンが掲げられていた。
「野蛮田佳彦、強盗め、早く尖閣諸島を返せ!」――。これは、野田首相の名前をもじったスローガン。
香港紙『リンゴ日報』が報じたところによると、大陸各地では、さらに笑えるスローガンが掲げられていたという。
「3000人の兵士を得れば、尖閣諸島を取り戻してみせる。500人の腐敗役人を預けてくれれば、日本を食い潰すことを保証する」
これは、中国にはいかに腐敗がひどいかを物語っている。
9月18日は満州事変の発端となった柳条湖事件の記念日だったが、こんなスローガンも。
「柳条湖事件は毎年記念するが、6月4日は」
6月4日はご存じ、天安門事件の記念日。
「医療保険も社会保険もないが、心のなかには釣魚島がある」
「政府は年金保険を実現する気はないが、釣魚島を取り返す気はあるようだ」
「人権や物権はなくても、釣魚島には主権がある」
「労働改造所を廃止して、取り戻した釣魚島を労働改造所にしろ」
などなど、いずれも中国政府を痛烈に批判するものばかり。
少なからぬ民衆が反日デモを、政府への不満を吐き出す場にしていることがこうしたプラカードの文言に如実に表れている。