9月になっても暑さが続く日本列島。我々が毎日浴びている太陽光は、紫外線以外にも、体に老化を促進させる要素を持っているという。クリニカタナカ形成外科・アンティエイジングセンター院長で医学博士の田中洋平氏はこう話す。
「地上に届く太陽光線は、大きく3つに分かれます。パーセンテージでいうと、紫外線10%、可視光線40%、近赤外線50%です。今まで、肌の老化の原因となる老化光線といえば紫外線でした。無防備に浴びていると、シミやそばかすを引き起こす可能性があるので、紫外線対策も続けるべきです。しかし最近の研究成果では、近赤外線の及ぼす影響が、紫外線以上だとわかってきたのです」
近赤外線と紫外線が与える人体への影響は、どう違うのか?
「わかりやすくいえば、紫外線は人間の皮の部分までしか届かないのですが、近赤外線は筋肉まで到達します。筋組織を破壊して、たるみやシワの根本的原因になっています。いわば、『太陽光の強い近赤外線は老化光線』なのです。美肌を目指す女性はもちろん、男性も充分に気をつけたほうが良いと思います」(田中氏)
田中氏は、その研究結果を『近赤外線ケア美肌術 いくら紫外線だけカットしても美肌にはならない』(光文社)にまとめた。
「近赤外線は、テレビやパソコンのモニター、電球、こたつなどからも放射されています。多量に浴びない方が賢明です。もちろん、使い方によっては、医学的にプラスになる光線です。実際、治療方法などに有効利用されています。
しかし、無防備に近赤外線を浴び続けるのは、体によくありません。日傘を差したり、帽子をかぶったり、サングラスをかけたりして対策をしたほうがよいでしょう。近赤外線をカットする日焼け止めクリームを塗ることも効果的です。また、ビタミンCを豊富に含んでいる旬の新鮮な果物や、加熱していない生野菜を食べるのも良いでしょう」(田中氏)