9月11日、待望の第1子となる長男・眞秀くんを出産した寺島しのぶ(39才)。人間国宝である父・尾上菊五郎(69才)、母・富司純子(66才)、弟・尾上菊之助(35才)という歌舞伎の超名門一家の長女として誕生した寺島は、私生活では2007年2月に、フランス人アートディレクターのローラン・グナシア氏(44才)と国際結婚して幸せな生活を掴む。
グナシア氏との結婚報告会見では「男の子が生まれたら歌舞伎役者にしたい」という思いを明かしている。
ここで寺島に立ちはだかるのが“ハーフ”の壁だ。伝統を重んじる歌舞伎界にハーフの子が入っていけるのだろうか。実は、歌舞伎界にハーフの前例がないわけでない。明治から昭和初期に活躍した十五代目・市村羽左衛門(享年70)がハーフだったといわれている。
演劇評論家の中村哲郎氏が説明する。
「羽左衛門の父親は、明治初期にお雇い外国人として日本に滞在していたフランス人の軍人なんです。ただ当時の日本はナショナリズムが非常に強かった時代です。彼の母親は旧福井藩主の血を引くということもあって、表沙汰にはできず、密かに養子に出されることとなり、その引き取り手が市村家だったそうです。
そのため、羽左衛門自身は、ある時期までは自分がハーフだと認識していなかったともいわれ、それが広く明らかになったのは彼の死後のことでした」
歌舞伎界でも大名跡といわれる“市村羽左衛門”だが、十五代目はその美貌で一時代を築き、絶大なる人気を誇った。
「ハーフとは思えないほど、江戸の匂いのする役者でした。顔が美しいのはもちろんのこと、脚もきれいで、舞台で今でいう生脚を見せると、当時の女性ファンからは、“キャー”という黄色い声援が飛んだようです。高音の利いた口跡も魅力のひとつでしたね」(前出・中村氏)
ならば、寺島の長男にも、梨園入りの可能性が広がるのだが…。中村氏はこう続ける。
「“ハーフの歌舞伎役者”がありか、なしかでいったら、結局は肉体条件が重要となるのではないでしょうか。ハーフでもあまり西洋人、西洋人していると歌舞伎の舞台に合うのかという疑問もあります。やはり日本人を演じるにあたって着物が似合わないというのはありますからね。またその条件をクリアしたとしても、小さな頃から厳しく修練しないと名優にはなれません」
ちなみに寺島はブログに、眞秀くんの容姿についてこう綴っている。
<うーん。どこから見ても、今んとこハーフには見えないな>
では、寺島の父・菊五郎はどう思っているのだろうか。あるインタビューでこう語っている。
「当人がやる気にならないとね。もし、やるとなったら、せがれ(菊之助)に任せますよ。(歌舞伎界に)入ってくれれば、ありがたい」
※女性セブン2012年10月11日号