バブルの好景気で、華やかで派手なメイクが主流となった80年代後半。バブル崩壊後の90年代は色黒の肌、白のアイシャドウなどが使われる“コギャルメイク”が流行。2000年代前半は、コギャルメイクから発展した、目を強調するアイメイクが人気を集め、マスカラやつけまつ毛は欠かせない存在となった。このように、時代ごとに変化するメイク。
では、「今の時代の顔」は? 資生堂発行で、ドラッグストア・スーパーなどで配布しているフリーペーパー『Beauty Book』編集長の石川由紀子さんに“男女どちらからも愛される、旬の好かれ顔”について教えてもらった。
石川さん曰く「今、欠かせないのは癒し+きちんと感のある“ゆる・ふわ・きちん”」だという。世界規模での異常気象、政情不安が発生しているなか、ふんわりとした温かさのある癒しが求められる条件であり、なおかつ、困難の中でも前を向いてしっかりと生きている強い意志が見え隠れしている人が魅力的にみえるのだとか。
“ゆるふわきちん”を演出するために覚えておきたいのが、しっかり手をかけた上で肩の力が抜けた“すっぴん風メイク”。そのポイントを石川さんに伝授してもらった。
■肌
・厚塗りをするのではなく、無駄な粉がつかないファンデーションブラシを使用する。
・隠したい部分だけコンシーラーで隠し、見えていい部分は素肌感を生かす。
■まゆ毛
・明るい色でやや太めに描いて温かみを出しながらも、眉尻だけはペンシルで整える。
■まつ毛
・マスカラはまつ毛全体に盛るのではなく、目尻に多く乗せる。
そして「全てのキメ手はチーク」と石川さんはいう。「リラックスした愛らしい顔を目指すなら頬の中心にポンポンと置いてなじませる。 “ゆるふわきちん”を出すには、笑ったときに一番高くなる頬の部分にチークを置いて外側に向かって広げる。幸せ感も出て、凛とした立体感や小顔効果も得られる」
さらに現在活躍する女性タレントのなかで、“ゆるふわきちん”の代表といえば、「国民的美少女でありながら、コミカルな役も演じられる安心感のある顔」を持っている女優の武井咲さんだ。
長引く不況のなかで、不安に見舞われた2000年後半頃から流行した“癒し顔”といえば、丸顔、垂れ目で、ぽってりとした唇、丸みのある体つきの女性だった。そしてこれからは、不安の中でも女性は癒しを与えながらも、凛として生きていかなければいけない時代。そんな中で優しい雰囲気のなかにも清らかな美しさを兼ね備えた“ゆるふわきちん”は、今を生きる女性にしっくりきている。
「いつの時代も、メイクは女性の生き方を表すものといえますよね」(石川さん)