悲しみに暮れる間もなく訪れる現実――。家族が亡くなってから、真っ先にしなくてはならないのが葬儀の手配だ。食事やお布施を含め、葬儀費用の全国平均は約200万円。納得いく葬儀に備え、事前準備から段取りまで知っておこう。
エンディングコンサルタントの佐々木悦子さんは次のように話す。
「同じ人生の大切な式典である結婚式では半年かけて計画する内容を、お葬式では数時間で決めなければなりません。しかも臨終直後から、葬儀、火葬、自宅に戻るまでお世話をしてくれる葬儀社は、事前に探しておかない限り病院などと提携する業者に一任することに。費用の見積もりを出されても妥当かどうか判断できません。
葬儀は故人を葬り送るだけでなく、遺族がその死を受け止め、社会的に告知する意味もあります。遺族が納得し、その後の人生をしっかり踏み出せる儀式であることも大切です。 どんな葬儀がいくらでできるか、生前見積もりを無料でしてくれる葬儀社2~3社を比較し、目星をつけておくといいでしょう。
なお、夫名義の預貯金は、金融機関が死亡を確認した時点で凍結されます。葬儀代など現金で必要な費用は確保しておきましょう」
続いて、葬儀に関する数々の疑問について解説していこう。
Q:よい葬儀社を選ぶには?
A:地元を中心に2~3社見学し、生前見積もりを取る
最近は通夜料理の試食会などを行い、会場見学をしやすくしている葬儀社も。それらも利用して会場を訪れ、こちらの要望を伝えて生前見積もりを。その対応で葬儀社の良し悪しも見えるはず。
Q:最終的には葬儀にいくらかかる?
A:葬儀代、料理、宗教者へのお礼で全国平均約200万円
祭壇や棺などの葬儀代に、火葬料や料理代などの実費を合わせ葬儀社から請求される額は、会葬者30人の小規模なら80万~140万円。宗教者へのお礼を含めると全国平均約200万円。さらに以降の法要などの費用も必要に。
Q:シンプルでお金をかけない葬儀は?
A:安置、納棺、火葬拾骨のみの直葬で20万円弱くらい
祭壇や読経などを廃し、火葬のみを行う「直葬」と呼ばれるスタイルも、棺や火葬までの安置が必要なので、最低でも17万円前後。葬儀費用は会葬者の人数に左右されるので、最近はごく身近な人だけを呼ぶ「家族葬」も増えている。
具体的な葬儀の種類については以下の通りだ。
【一般葬】安置、湯かん、通夜、葬儀・告別式と、通夜料理を含めた一般的なスタイル。会葬者30人以上で祭壇のランクや人数により、90万円くらいから。
【家族葬】一般葬と同じ内容で、会葬者が30人くらいまでの小規模なもの。80万~140万円くらい。会葬者が多ければ、一般葬と同程度の費用がかかる。
【一日葬】一般葬で、通夜か葬儀・告別式のみ行う(告別式のみが多い)。式場の使用日数や料理などが減るので若干、費用は安く、30人規模で60万円~。
【直葬】火葬、拾骨のみで17万円前後。費用は別だが、納棺の際にお清めの湯かんを行ったり、僧侶に読経を頼むこともでき、家族のみのお別れを重視。
※女性セブン2012年10月18日号