作家・落合信彦氏によれば、2012年の米大統領選、はしゃいでいるのは大メディアと当事者たちだけで、まったく期待できないという。党大会のレベルの低さ(民主、共和両方)も際立っていると指摘する落合氏は、こう警告する。
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いずれにせよ、アメリカはそろそろ立ち直らなければならない。この4年間で、連邦所得税を払わないアメリカ人の割合は33%から51%に急増した。
オバマの政策は、聞こえがいい。富裕層に高い税を課し、働かない人間に給付する。努力を嫌う人間にとってこれほど楽なことはない。だが、こうした政策が続いた結果として、アメリカの景気はいつまで経っても上向かない。
80年の大統領選挙で現職だったジミー・カーターに圧勝したレーガンは、有権者に向けて「あなた方の生活は4年前と比べてよくなりましたか?(Are you better-off now than you were four years ago?)」と語りかけた。
この一言が一時10%もの差をつけられていたレーガンを生き返らせ、結果は彼の歴史的ランド・スライド勝利となった。この時のレーガンの問いをアメリカ国民の一人ひとりが思い出し、考えるべきだ。深く考えれば、取るべき行動は自ずと見えてくる。
口の上手いオバマという男に有権者が再び騙されたら、アメリカはさらなる停滞の4年間を過ごすことになる。そしてアメリカの停滞があと4年も続くことは、世界の平和と発展を著しく阻害する。いい加減、アメリカ国民が気付き、立ち直るための第一歩をこの選挙で踏み出さなくてはならない。
同じことが日本にも言える。
日本でも解散総選挙の機運が高まってきた。アメリカがオバマの甘い言葉に踊らされたのと同様に、3年前、日本人も民主党政権の詐術的なマニフェストに騙されてしまった。同じ2009年に誕生した日米の左派バラ撒き政権は、国の経済を停滞させ、国益を大きく毀損した。同じ過ちを繰り返してさらに停滞を長引かせるのか、反転して一歩を踏み出すのかが今、問われている。
たかり根性の曇った眼で政策を見ていたら、財源なきバラ撒き政策が魅力的に見えてしまい、判断を誤る。厳しい世界で生き残っていくためには、楽ができる甘い話などないのだ。
ケネディが1960年の選挙に勝利した後、大統領就任演説で口にした有名なフレーズがある。
「国家があなた方のために何をするかではなく、あなた方が国家のために何ができるかを問うてもらいたい」
この一文を読んで、一人ひとりの有権者が何を考えるか。それによって、選挙の結果が変わり、国家の将来が変わってくる。貴重な一票を投じる前に、ぜひ深く考えてもらいたい。
※SAPIO2012年10月3・10日号