齢90を超えて現役を謳歌する人生の達人たち。いまだ一線で活躍するオーバー90たちが高齢化日本を元気にする。その一人が国語教師の橋本武さん、100歳だ。
全国有数の進学校として知られる灘校(兵庫県神戸市)で50年にわたって国語の教師を務めた橋本さん。
「子供たちの一生の糧となる授業を行ないたい」と、1冊の本を3年かけて読み込む国語の授業は、教え子の黒岩祐治・神奈川県知事によって情熱溢れる“スローな授業”と紹介され、東大合格日本一に導いた伝説の教師として話題を呼んだ。
86歳から8年かけて54帖分を訳した『現代語訳 源氏物語』にも注目が集まり、100歳を超えた現在も月1回文化教室で源氏物語をテーマに教えている。
「教室にはリタイア世代の男性もいらっしゃるのですが、人の好奇心は尽きないものですね。私自身も耳は遠くなりましたし、細かい字を読むのも苦労しますが、学び続ける毎日は楽しくて仕方がありません」
※週刊ポスト2012年10月19日号