東大卒プロ野球選手として話題だった日本ハム・松家卓弘(30・投手)が、今オフ戦力外通告を受けた。球界関係者はこう語る。
「プロ入りに際しても内定をもらっていた国際協力銀行を辞退するかどうかで思い悩んでいたんです。でも結局、『辛いことから逃げるのはよくない』とあえて茨の道を選んだ。実は松家は、単位の履修取得が1単位だけ足りずに卒業できなくて、春のキャンプ終わりに大学へ戻って試験を受け直しているんです」
プロの実績は一軍登板14試合勝ち星なし。時折、一流企業に進んだ東大野球部の仲間と電話で話し「これでよかったのか」と心が揺れ動いた時期もあるという。だが、最後まで自分に足りないものを探しながら練習に励み、二軍生活を続けた。
結局横浜5年、日ハム3年で戦力外通告に―─。引退後については「日米問わずスポーツビジネスに携わりたい」と語る。プロ入り直前に松家を取材したこともあるスポーツジャーナリストの安倍昌彦氏はいう。
「すぐそばにあるプロ野球という世界を見据えながらも、いつかビジネスでも社会と渡り合ってみたい―─そんな話をしてくれたのを覚えています。選手としての“自己実現”は不十分だったでしょうが、現場を知っている強みをいかして次のステージに進んでほしい」
※週刊ポスト2012年10月26日号