最近、駅ナカやショッピングセンターなど好立地のみならず、郊外の住宅地や街道沿いにも続々とリラクゼーションサロンのチェーン店舗がオープンしているのをご存じだろうか。健康・癒しブームにも乗り、その市場規模は3000億円に迫るとも言われている。
これまで足つぼマッサージや全身もみほぐしの料金相場は「10分1000円」だったが、価格破壊が一気に進み、「60分2980円」ほか、半値での施術を謳うチェーンも増えた。まずは、低価格を売りにしている主な店と特徴を紹介しよう。
■りらく(60分3120円)
関西を中心に全国へチェーン展開。足つぼコースにはふくらはぎにアーモンドオイルをつけてリンパを流す施術が気持ちいいと評判。
■みんなのてもみ(60分2980円)
東京・千代田区のオフィス街で増えている。10月には水道橋駅西口店オープン。オプションに眼精疲労コース、小顔リンパコースも。
■ほぐしの達人(60分2980円)
首都圏と名古屋でフランチャイズ展開する。施術は3年以上の実務経験者が行い、リピート率70%超を誇る。ブラウン基調の落ち着いた空間。
■クイック24(初回限定お試しコース 50分2099円)
渋谷、新宿、銀座など都心部に展開。翌朝8時までの深夜営業店や男性専用のフェイシャルエステが受けられる店舗もある。
リラクゼーションサロンが拡大し始めたのは、1990年代後半から。英国式リフレクソロジー『クイーンズウェイ』(RAJA)や『てもみん』(グローバルスポーツ医学研究所)などが店舗数を伸ばして業界を牽引しながら、新規チェーンが“雨後の筍”のごとく参入してきた。その状況はいまも変わらない。では、人気の秘密はどこにあるのか。
「10分単位で施術を受けられる手軽さに加え、キレイな店構えで女性客も入りやすい丁寧な接客、そして明朗会計な料金システムが成功の要因でしょう」(業界関係者)
さらに、近年はパソコンやスマホの普及により、肩こりや頭痛持ちが急増したことも、クイックマッサージの需要を底上げしたという。都内の整形外科医の指摘。
「長時間、うつむき姿勢でパソコンや携帯電話の画面を見ている現代人は、首の生理的なカーブが失われ、『ストレートネック』になる傾向が強い。すると、肩こりや頭痛だけでなく、めまいや手足のしびれ、自律神経失調症になる場合もあります。こうした症状に悩む人たちが空いた時間にクイックマッサージを受けに行く機会が増えたのでしょう」
しかし、リラクゼーションサロンはケガの治療を目的とした施設ではなく、セラピスト(施術者)に国家資格も要らないため、無理な指圧をして症状を悪化させてしまうリスクもある。
「チェーン店の中にも定期的な研修や技術力アップの人材育成に熱心なところもありますが、あまりにも同業他社が増えすぎて、熟練のセラピストをまんべんなく各店に配置するのが難しい状況です。お客さんに強い指圧ばかりを要求されて体を壊して辞めてしまうセラピストもいますしね」(低価格サロン関係者)
財布にもカラダにも優しいサロンと出会うのは、なかなか容易ではないようだ。