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中国が「尖閣は日本の領土」と認めていた証拠の公文書を公開

中国が「尖閣は日本の領土」と認めた公文書

 中国が尖閣諸島の周辺海域で威嚇・挑発行為を繰り返している。漁船や漁業監視船のみならず、ついに10月16日には中国海軍の駆逐艦が尖閣諸島の南方200kmの海域を通過。「尖閣は中国の領土だから、その周辺で何をしてもいい」というのが彼の国の言い分だが、もちろん完全な詭弁だ。

 中国側の傍若無人な振る舞いと日本政府の広報不足のせいで、日本人の中にも「日本と中国の双方が領有権を主張していて、どちらの領土かはっきりしない島」という程度の認識を持つ人も出てきてしまった感があるが、尖閣諸島は歴史的、国際法的に明らかに日本領土だ。その動かぬ証拠が数多くある。

 掲載した1枚の「感謝状」もその一つだ。漢文で書かれたこの書状には中華民国9年(1920年、大正9年)5月20日の日付が記され、送り主には「中華民国駐長崎領事 馮冕」とある。領事の公印も押されており、中国側のれっきとした公文書だ。報道写真家の山本皓一氏が書状について解説する。

「1919年に福建省から漁に出た中国の漁民31人が嵐で遭難し、彼らを当時尖閣に住んでいた日本人の島民や八重山郡石垣村の住民らが救助しました。遭難した中国の漁民を無事本国へと送り返したことについて、中国側が感謝状を贈呈したのです。注目すべきはこの感謝状の中で、漁民が遭難して流れ着いた場所を『日本帝国沖縄縣八重山郡尖閣列島』と表記していることです」

 要は中国側の公文書に「日本の尖閣諸島」と書いてあるのだ。山本氏は石垣市役所の文書課に残された膨大な歴史資料の中から、この感謝状に記された遭難事件の存在を裏付ける公電なども発見している。「歴史的に中国の領土である」という主張を覆す、動かぬ証拠だと言えよう。

「領土は、その場所で暮らす人間の営みの歴史によって画定されるものです。魚釣島に人が住み始めたのは1884年のことで、その後には鰹節工場などが建設され、多い時には99戸、248人が住み着きました。1940年に沖縄海域の戦況が悪化して以降、無人島となったわけですが、それまで経済的な営みを日本人が続けてきたことは多くの資料から明らかなのです」(山本氏)

 そもそも中国側は、尖閣の周辺海域で石油・天然ガスの埋蔵の可能性が指摘される1960年代後半まで、領有権を主張したことは一度もなかった。資源欲しさに歴史を“捏造”したため、丁寧に検証を続ければこの感謝状のような矛盾が数多く見つけられるのだ。

 新聞やテレビなどの大メディアは、検証を怠っているのか相手国へ“配慮”しているのか、こうした「事実」をほとんど報じない。韓国が不法に実効支配を続ける島根県の竹島についても同様だ。

 10月12日に発売され、大きな反響を呼んでいる『日本人が知っておくべき竹島・尖閣の真相』(小学館刊、SAPIO編集部・編、定価980円)には、前出の山本氏をはじめとするジャーナリストや専門家が歴史資料、古い地図、写真や証言などを丹念に紐解いたレポートを寄稿。尖閣諸島や竹島についての中国・韓国の主張がデタラメであることを明らかにしている。

※週刊ポスト2012年11月2日号

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