10月31日、ソフトバンクが第二四半期の決算説明会を行なった。iPhoneでし烈な戦いを繰り広げているKDDIの決算説明会は24日に行なわれており、これで2社の報告が揃ったことになる。
発表によると、ソフトバンクは、営業利益は4027億円でKDDIの2312億円を上回り、ドコモの4711億円に迫る勢い。増減率でいえば、2012年度上期で3社内唯一の増益(+8%)と好調だったという。さらに孫社長は、純増数はナンバーワンなど波に乗っていることをアピールしたが、本当に言いたかったのは、単に経営が好調だということではないことは明白な説明会だった。
■ソフトバンク版iPhone5の「2つの誤解」
KDDIの田中孝司社長が口火を切ったau版とソフトバンク版のiPhone 5比較に対して、ライバル心を隠さない孫社長。ソフトバンク版のiPhoneに対しては、2つの誤解があると自らの口で説明を開始した。
まずひとつめは、「auはLTE接続時の連続待受時間が約260時間、ソフトバンクは160時間」と報じられていた(ケータイWatch 2012年9月26日)ため、ソフトバンク版のLTEは電池の減りが早いのではないかと思われた節があること。孫社長によると、「10月19日からLTE待受時のパケット通信の接続状態を最適化し、ソフトバンク版iPhoneの方がau版より長持ちする」という。
また、ソフトバンクはLTE基地局数がauよりも多いだけでカバーエリアが狭くアンテナが1つの「オムニセル型」ばかりで、つながりにくいという点(週アスPLUS 2012年10月9日)についても、実際の「オムニセル型」は3%に過ぎず、97%はカバーエリアが広い「セクターセル型」であるため、これも「誤解」だとするなど、説明会を通じて、誤解を“公的に”修正した。
■メインは「LTE展開の実態」
さらにプラチナバンド基地局の整備も前倒しで展開中とした孫社長だったが、やはりメインとして訴えたかったのは、LTE展開の進捗だろう。「山手線ならauが勝つ」とKDDI陣営が主張していることを意識し、山手線全駅での実証実験を敢行したとのこと。結果、10月31日時点で山手線全駅においてLTE接続が可能と報告したことに加えて、全国でのJR乗降客数トップ1000の駅についての調査結果も発表。LTEが接続できたのはソフトバンクが807駅だったのに対し、auは542駅だったと自社カバーエリアの広さを示した。
速度についても、auのほうが速かったのは219駅、ソフトバンクのほうが速かった駅数は674駅。平均速度は5.8Mbps(auは3.4Mbps)と、「ソフトバンクは速い」ということを強調。
KDDIの第2四半期決算説明会では、田中社長は、4G LTE において10月末で人口カバー率84%を2013年3月までに96%に引き上げる(※ただしiPhone非対応の800MHz局限定実人口カバー率)ほか、さらなる高速化の追求、小型基地局を世界初導入し、「面」でエリアを構築することなどを発表。営業利益については、第2四半期でみると前年同期比-13.3%だったものの、7月から9月期では+8.2%と増益転換し、勢いに乗っていることをアピールしていた。
両社とも2013年に向けてますますの増強を測る計画が発表されるなか、ソフトバンクがより意識したのは「実態の報告」。自身の口で調査の報告を行なうなど、これまで以上に「ソフトバンク(iPhone)がどう報じられているか」「どう受け止められているか」という声を強く意識していることがうかがえる。ツイッターなどで“ユーザーの声を聞く”のに積極的なことで知られる孫社長。今後は、どういった評価を得ていくかが問われることになる。