国内

大新聞の誤報謝罪記事 言い訳がましさ小学生並みと識者指摘

 メディアの誤報が続いている。今度は尼崎市の連続遺体遺棄・行方不明事件の被告の顔写真を別人と取り違える大失態だ。お詫びで載せた「検証記事」も、言い訳がチラホラとほのみえる。大人力コラムニストの石原壮一郎氏が、「大新聞を反面教師にした大人の謝罪」方法を伝授する

 * * *
 ちょっと前に、iPS細胞(新型万能細胞)の移植手術がらみで、例のおじさんの話を鵜呑みにして大誤報をしてしまった読売新聞が、またやってしまいました。兵庫県尼崎市の連続遺体遺棄・行方不明事件で、傷害致死罪などで起訴されている角田美代子被告の顔写真として、まったく関係ない別の女性の写真を誤って掲載してしまったのです。

 写真は1993年の集合写真を元にしたもので、10月23日朝刊から掲載されました。ところが、29日の夜に、事件に関係ない女性から「私の顔写真が使われている」という指摘が弁護士を通じて読売新聞に寄せられ、また角田被告の弁護人からも、本人が「『自分ではない。集合写真が撮影された場にはいなかった」と言っている』という回答を得て、「取り違え」が明らかになります。

 読売新聞は31日朝刊にお詫びを載せ、翌11月1日には検証記事を発表。間違えられた女性にしてみればとんだ災難です。本人に直接どうお詫びするのかが気になるところですが、それはさておき、検証記事もお詫びの意味を込めているはず。しかし、読めば読むほど、そこはかとなく言い訳がましさが漂ってくる記事でした。検証記事を勝手に検証して、失敗や間違いをしたときの謝り方の反面教師にさせてもらいましょう。

 取り違えの始まりは、角田被告と付き合いがあったという写真の提供者が「間違いない。当時はこんな顔だった」と話したこと。さらに、昔のご近所さんが「こんな感じだった」と答えたことなどを根拠に本人と判断したとか。いろいろ反省点をあげる中で「明確に否定した人もいなかったため」と書いていますが、読み方によっては「誰かが違うと言ってくれたらよかったのに」と責任を転嫁しているとも取れます。「19年前の撮影であることを考えると、さらに慎重を期すべきだった」という一文も、裏を返せば「19年も前の写真なんだからしょうがないよ……」と開き直っているように見えなくもありません。

 もっとも強烈に言い訳がましさを感じさせているのが、最後に付け加えてある「他のメディアで間違った写真を使用したのは、毎日新聞、産経新聞(東京本社版)と複数の地方紙、共同通信、NHKのほか複数の民間放送」と同類を羅列した記述。小学校のホームルームで「ボクだけじゃなくて、○○君もやってました」と言ったら先生から激しく怒られましたが、まさにその図式です。もしかしたら「なぜ多くのメディアが同じ写真で同じ間違いをしたのか、事情を察してほしい……」という心の叫びも込められているのかも。

 大人としては、この検証記事の検証から、ミスをして謝るときは「弁解したい気持ちをにじませるのはタブー」「自分以外の原因をチラつかせて、責任を軽くしようとするのは逆効果」といった教訓を得てしまいましょう。ま、この記事も含めて「どう謝っても、なんだかんだ突っ込まれる」という教訓(?)も、よかったら得てもらえたら幸いです。

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者
《広末涼子が釈放》「グシャグシャジープの持ち主」だった“自称マネージャー”の意向は? 「処罰は望んでいなんじゃないか」との指摘も 「骨折して重傷」の現在
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン
19年ぶりに春のセンバツを優勝した横浜高校
【スーパー中学生たちの「スカウト合戦」最前線】今春センバツを制した横浜と出場を逃した大阪桐蔭の差はどこにあったのか
週刊ポスト
「複数の刺し傷があった」被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと、手柄さんが見つかった自宅マンション
「ダンスをやっていて活発な人気者」「男の子にも好かれていたんじゃないかな」手柄玲奈さん(15)刺殺で同級生が涙の証言【さいたま市・女子高生刺殺】
NEWSポストセブン
NHK朝の連続テレビ小説「あんぱん」で初の朝ドラ出演を果たしたソニン(時事通信フォト)
《朝ドラ初出演のソニン(42)》「毎日涙と鼻血が…」裸エプロンCDジャケットと陵辱される女子高生役を経て再ブレイクを果たした“並々ならぬプロ意識”と“ハチキン根性”
NEWSポストセブン
山口組も大谷のプレーに関心を寄せているようだ(司組長の写真は時事通信)
〈山口組が大谷翔平を「日本人の誇り」と称賛〉機関紙で見せた司忍組長の「銀色着物姿」 83歳のお祝いに届いた大量の胡蝶蘭
NEWSポストセブン
20年ぶりの万博で”桜”のリンクコーデを披露された天皇皇后両陛下(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
皇后雅子さまが大阪・関西万博の開幕日にご登場 20年ぶりの万博で見せられた晴れやかな笑顔と”桜”のリンクコーデ
NEWSポストセブン
朝ドラ『あんぱん』に出演中の竹野内豊
【朝ドラ『あんぱん』でも好演】時代に合わせてアップデートする竹野内豊、癒しと信頼を感じさせ、好感度も信頼度もバツグン
女性セブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
《実兄が夜空の下で独白》騒動後に中居正広氏が送った“2言だけのメール文面”と、性暴力が認定された弟への“揺るぎない信頼”「趣味が合うんだよね、ヤンキーに憧れた世代だから」
NEWSポストセブン
高校時代の広末涼子。歌手デビューした年に紅白出場(1997年撮影)
《事故直前にヒロスエでーす》広末涼子さんに見られた“奇行”にフィフィが感じる「当時の“芸能界”という異常な環境」「世間から要請されたプレッシャー」
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下は秋篠宮ご夫妻とともに会場内を視察された(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
《藤原紀香が出迎え》皇后雅子さま、大阪・関西万博をご視察 “アクティブ”イメージのブルーグレーのパンツススーツ姿 
NEWSポストセブン
2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン