竹島や尖閣諸島をめぐる領土問題が話題を集めたが、実は東京23区にも領土問題がある。中央区・銀座が千代田区と港区に接する区境。ここにどの区にも属さず「番外地」とよばれる土地がある。現在、銀座ナインなどの商業施設が建つ一角だ。銀座で長らく商売を営む飲食店経営者に話を聞いた。
「ここは戦後しばらく、中央区・千代田区の境目となった外堀と、同じく中央区・港区を分ける汐留川がありました。でも戦後の瓦礫処理によって外堀と川は埋め立てられた。結果、広大な土地が出現したんです」
埋め立て後まもなく、敷地の上に高速道路が建設された。住居は存在しないため行政サービスを受けるべき住人もいない。そのため、この土地が何区なのかきちんと議論されることはなかった。しかし、道路下には次々と商店が開かれた。
「オーナーは中央区、千代田区、港区、どれかの自治体を選んで行政サービスを受けています。店の位置や入口が開かれた方向などが決め手となっているようです。ただ、この地のオーナーにとって区の名前なんてどうでもいい。“銀座”を冠することができればどちらの区に所属してようと関係ないわけです」(同)
銀座ナインももともとはSC新橋センターという商業施設だったが、“銀座ブランド”を求めて現在の名前に変更。名前は銀座9丁目を意味するという(銀座は8丁目までしかない)。
ちなみに同施設では建物の中央に仮の線をひき、たばこなどの自動販売機は、置かれた場所によって、税金を払う区を決定しているという。
※週刊ポスト2012年11月16日号