米紙「ワシントン・ポスト」(10月28日付)は「衰退する日本はかつての希望に満ちたチャンピオンの座に戻れない」という刺激的な見出しのついた記事を掲載した。このところの日本の経済的閉塞感を象徴させるような記事だが、同紙はさきごろも「日本で右傾化が強まっている」などとして藤崎一郎駐米大使から抗議を受けるなど“ジャパンバッシング”的傾向が強まっているようだ。
同紙は日本衰退論の根拠として、1億2700万人の現在の日本の人口が2100年には4700万人と激減することや、2050年の平均年齢が52歳と高齢人口が圧倒的に多くなることで、2010年に世界第3位に転落した日本経済の衰退スピードが加速するなどとしている。
また、1979年に大ベストセラー『Japan as No.1』を著わしたエズラ・ボーゲル・ハーバード大学名誉教授の発言として、このような経済的衰退の原因について、毎年首相が変わるような政治的混迷によって、デフレに陥ったことで、若者が未来に希望を持てなくなってしまったと指摘。
かつては企業の終身雇用制と政府機関のバックアップによって、経済的に繁栄したが、官僚による支援がなくなったいまでは、既存の企業は改革をしたり、スリム化を図ったりしたものの、創造性が豊かな風土を生むことが難しくなったと分析している。そのうえで、ボーゲル氏は「私が予測し得なかったことは経済の停滞によって、これまでの日本型の経済成長構造が機能しにくくなってしまったことだ」と結論づけている。
同紙は朝日新聞社の主筆を務めた船橋洋一氏のコメントとして、「日本人はもうナンバーワンになるのを諦めてしまった。中国に敵うわけはないと思うようになり、トライしようとしない。また国際的な舞台で自分を鍛えようとしなくなった。日本人は内向きにあり、国際社会でタフで競争力があるプレーヤーたらんとしなくなったのだ」と解説している。
このほか、同紙は9月21日付の1面で、沖縄県尖閣諸島問題をめぐる中国との対立を背景にして、日本が「緩やかだが、かなりの右傾化」を始めているとして、周辺地域での行動が「第2次大戦後、最も対決的」になっていると指摘。これに対して、藤崎大使が「かなり誇張されたものだ」と反論するなど、同紙の“反日的”な見方が際立っており、ネット上でも反発が強まっている。