大熱戦が繰り広げられた日本シリーズも終了し、2012年のプロ野球シーズンは終了した。今シーズンも金本、城島、小久保など多くの名選手が球界を去ったが、迷言が原因で引退させられたのが「世界の盗塁王」、阪急の福本豊だ。
1988年、西宮球場での最終戦は、生涯284勝を挙げたエース・山田久志の引退試合として、そして阪急ブレーブス最後の試合として開催された。試合後、挨拶に立った上田利治監督は、「去る山田、そして残る福本」というべきところ、「去る山田、そして福本」とやってしまった。
これに驚いたのは福本だった。福本には引退する気などなかったのだ。しかし騒ぎ出したマスコミに囲まれ、「監督がいうてしもたもんはしゃあないがな」と引退を受け入れてしまった。
「だって取り消すのも邪魔くさかったもん」
福本氏が語る。
「体力的にはまだ3年はイケたと思うけどね。それに阪急がオリックスになるということもあって、受け入れたんよ」
※週刊ポスト2012年11月16日号