先月末、佐賀県はインフルエンザが流行期に入ったと発表した。インフルエンザの流行期は例年、1月中旬。今季は2ヵ月早い流行期入りだ。今年の夏は雨が少ない上に暑さが長引いたせいか、本来は真冬に起こる脅威が、早足で迫っているようだ。
インフルエンザの予防と言えば、予防接種のほか、外出後の手洗いの敢行、抵抗力をつけるために十分な休養とバランスのとれた栄養摂取などが挙げられる。もう一つ大事なのは、適切な湿度(50~60%)を保つこと。空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなるからだ(厚生労働省発表による)。
乾燥は、肌にとっての大敵でもある。乾燥による痛みやかゆみは辛いもの。11月は乾燥注意報が出始める季節、こちらも早めの対策を心がけたい。最近は顔だけでなく、体も乾燥している人が増えるという。『銀座ケイスキンクリニック』の皮膚科医・慶田朋子さんは「特に“手”と“かかと”、そして“すね”が乾燥している人が多い」と語る。
注意したいのは、一言で乾燥と言っても、パーツによって乾燥を引き起こすメカニズムに違いがあることだ。慶田さんは続ける。
「手は、乾燥した外気に触れる場所。さらに冬は洗い物などにお湯を使うことが多くなり、皮脂が落ちやすくなるため、肌のバリアが壊れ、乾燥が起きやすいのです。かかとは体の全体重がかかるため、角質が厚くなります。そのために皮膚が伸びにくく、乾燥するとひび割れてしまうという特徴があります」
そして、意外に乾燥しやすいのが、すねだという。
「もともと皮脂分泌が少ないので乾燥しやすく、気づいたらカサカサと粉がふいていたりします。こうした皮膚の表面の脂が減少することで、皮膚の水分が蒸発して乾燥を引き起こす病気を、皮脂欠乏症(乾皮症)といいます。ひどくなると皮膚がひび割れ、赤みやかゆみが強くなるので要注意。皮膚科で専門薬による治療が必要になります」
では、こうした乾燥から肌を守るためには、どうしたらよいのだろうか。原因が異なるがゆえに、対策もそれに沿った適材適所が肝要なようだ。慶田さんに聞いた。
「もちろん、保湿は大切です。しかし、各パーツに適した成分を使ったクリームを使用したり、ケアを行うことで、より効果的に乾燥から肌を守ることができます。例えば、角質の厚いかかとは、角質の代謝を改善するビタミンAを配合したクリームを使うといいですね。また、すねは、お風呂でごしごし洗わないように心がけ、ヘパリン類似物質などを含むクリームを毎日塗ることをおすすめします」
例えば手には、アンチエイジング成分たっぷりの「コエンリッチ プレシャス 薬用ホワイトニングハンドクリーム」(コーセーコスメポート)を、かかとには、ビタミンA配合でひび割れ修復に適した医薬品クリーム「ヒビケアFT」(池田模範堂)を、そしてすねには、「リペアクト」(池田模範堂)を。水分を保つ働きを持つヘパリン類似物質をはじめとする有効成分が含まれ、粉ふき肌をうるおいのある肌に戻してくれる。