ビッグスター、超人気アイドルをキャスティングしたドラマですら数字が獲れないそんな時代。平均13%以上という安定視聴率を誇り、さらに民放連賞まで獲った話題の番組『ほこ×たて』(フジテレビ系)。
名物シリーズのひとつが、「絶対に穴の開かない金属」VS「どんな金属にも穴を開けられるドリル」。まさに、攻めるドリルが矛ならば、守る金属が盾という最強同士の闘いは、メーカー同士の意地をかけて5度にわたって行われ、金属側の4勝1分。この金属を作り出したのは、金属精製加工メーカー「日本タングステン」(本社・福岡県)。原子炉の隔壁などに使われる特殊な金属材料の開発・製造を行っている。
一貫して対決に臨んだのは、若き開発技術者の中川内浩二さん(31才)。
「人選は彼の上司である超硬部品部長の判断で決めました。彼は仕事であまりクヨクヨせず、立ち直りが早いタイプ。彼なら勝っても負けても大丈夫ではないかと…。それに、あまり色男過ぎても面白くないだろうから、というのが理由です」(同社広報担当者)
第1戦は、日本で初めて超硬合金を作った工具メーカーのドリルを退け、第2戦では人工ダイヤモンドを仕込んだドリルをも弾き返した。第3戦には巨大な岩盤掘削機がパワー仕掛けで挑むも穴は開かず。
「2戦目までは軽い気持ちで出ていましたが、勝ち進んでいくうちに、会社の代表で来ているという責任感をだんだん感じるようになりました」(中川内さん)
対決が進むうちに、金属業界での注目度もアップ、業界紙の取材も入るようになり、ついに、ドリル生産量・世界ナンバーワンのメーカー「オーエスジー」(本社・愛知県)が参戦。今までの対決を研究しつくした最強のドリル「クロスエンド」をぶつけてきたのだが…金属が割れて、引き分けに。半年後の再戦では、際どいところまで削られたが、あと3mmを残して貫通されず、辛くも金属側が勝利。
これまでの対戦で、全国的にも会社の知名度が上昇した。
「今年の入社希望者は、前年比1.5倍の応募があり、特に理系は2倍で、全国からエントリーがありました。営業の際にも『ほこ×たて』のあの会社と説明することで、お客様との話もしやすくなりました」(前出・広報担当者)
一躍時の人となった中川内さんには、会社の知名度アップに貢献したということで社内特別賞が贈られたという。
※女性セブン2012年11月22日号