ライフ

伝説のクソゲー 楽しいかより楽しむスタンスこそ大事と識者

「風俗で地雷女」「クソゲー」誰でも1度はつかまされたことがあるだろう。しかしそれは本当に「地雷」だったのか、「クソ」だったのか。風俗、ゲームから端を発し、仕事への姿勢まで、作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が考察する。

 * * *
 もう、だいぶ前ですが、『週刊SPA!』の7/17発売号に「[風俗大ハズレ体験]地獄変」という特集が載っていました。タイトルだけでのけぞりそうになりましたが、内容はそれ以上でした。「ソープに行ったら、友達の母ちゃんが出てきた」「暴力を振るわれた」なんていう凄い話が出ていましたよ。

 同じ号だったと記憶していますが、同誌での風俗ライターなどによる座談会が熱かったです。その中で、ある風俗ライターが良いことを言っていたのですよ。「風俗嬢に地雷女なんて、いない。どの嬢とも、その時間、どう楽しむかという視点が大事なんです」そんな内容でした。この話を聞いて、なるほど、物事には「楽しむ」というスタンスが大事なのだと思ったのです。

 今年の夏の出来事だったのですが、この話をある公開パネルディスカッションの時に思い出しました。11月2日(金)に阿佐ヶ谷ロフトにて『またーりファミコン語り ~あの日僕たちは少年だった~』というイベントに出演しました。ライターさやわかさんの新作『僕たちのゲーム史』(星海社新書)の発売記念イベントで、彼と私の他に、ライターの赤木智弘さん、西森路代さんの4人でまたーり語りましたよ。80年代に子供だった私たちがあの頃のファミコンと遊びをまったり語ったのでした。現在に続くゲーム史、西森路代さんの女子目線アイドルトークもあり、実に楽しい3時間でした。

 そのときにいわゆる「クソゲー」の話が出ました。若い人はクソゲーという言葉自体、知らないかもですね。クソみたいなゲームのことで、面白くないゲーム、明らかにゲームとして崩壊しているものなどを指します。

 私の思い出に残るクソゲーと言えば、『バンゲリングベイ』(ハドソン 1985年)というゲームですね。ヘリコプターを操縦して、敵の秘密兵器の工場を破壊するというものなのですけど、なんか地味なのですよ。ただ、あれはあれで良ゲームだったのではないかという意見も出ました。その時も話題になったのですが、このゲームのWikipediaの項目をみると、元々大人向けのゲームだったのに、当時、『コロコロコミック』(小学館)でゲームの告知を行なっていたわけですが、明らかにゲームのターゲットと読者層がずれていたのですね。でも、当時、もともとのゲームの対象に告知できるメディアも少なかったわけで。実際の内容が優れていたとしても、ターゲット以外の人がやるとつまらなく感じるのですね。

 他にも、伝説のクソゲーとして「いっき」(サン電子)というゲームがあったわけですが、元々のアーケードゲームはなかなか面白かったそうで、ファミコンへの移植が上手くいかなかったというわけですね。実際にはかなり売れたらしいですが。

 ここで思いついたのは「楽しむ」というスタンスです。「楽しい」かどうかではなく、どんなものでも「楽しむ」というスタンスが大事なのではないか、と。そして、「楽しい」ことは「楽」じゃないな、とも。「楽しむ」というスタンスがあれば、あの「バンゲリングベイ」も「いっき」も、もっと楽しかったんじゃないか、と。

 もちろん、この「楽しむ」というスタンスはたまに悪用されていて、「やりがいの搾取」が行なわれている明るいブラック企業などでは、きつい仕事、きつい目標を「楽しもう!」という言葉の連呼でごまかしたりしているわけですが。

 会社や仕事に対して「嫌なら辞めろ」という論をよく見聞きするわけですが・・・。明らかに自分と合わない場合や、ブラック企業なら別ですが、楽しむというスタンスが大事だと思ったわけです。

 私も仕事と大学院の両立にやや悩み気味だったわけですが、困難を乗り越えるプロセスを楽しまなければと思った次第です。クソゲーよりはずっとずっと楽しめるはずです。はい。

関連記事

トピックス

俳優の竹内涼真(左)の妹でタレントのたけうちほのか(右、どちらもHPより)
《竹内涼真の妹》たけうちほのか、バツイチ人気芸人との交際で激減していた「バラエティー出演」“彼氏トークNG”になった切実な理由
NEWSポストセブン
『岡田ゆい』名義で活動し脱税していた長嶋未久氏(Instagramより)
《あられもない姿で2億円荒稼ぎ》脱税で刑事告発された40歳女性コスプレイヤーは“過激配信のパイオニア” 大人向けグッズも使って連日配信
NEWSポストセブン
ご公務と日本赤十字社での仕事を両立されている愛子さま(2024年10月、東京・港区。撮影/JMPA)
愛子さまの新側近は外務省から出向した「国連とのパイプ役」 国連が皇室典範改正を勧告したタイミングで起用、不安解消のサポート役への期待
女性セブン
11月14日に弁護士を通じて勝田州彦・容疑者の最新の肉声を入手した
《公文教室の前で女児を物色した》岡山・兵庫連続女児刺殺犯「勝田州彦」が犯行当日の手口を詳細に告白【“獄中肉声”を独占入手】
週刊ポスト
チョン・ヘイン(左)と坂口健太郎(右)(写真/Getty Images)
【韓国スターの招聘に失敗】チョン・ヘインがTBS大作ドラマへの出演を辞退、企画自体が暗礁に乗り上げる危機 W主演内定の坂口健太郎も困惑
女性セブン
第2次石破内閣でデジタル兼内閣府政務官に就任した岸信千世政務官(時事通信フォト)
《入籍して激怒された》最強の世襲議員・岸信千世氏が「年上のバリキャリ美人妻」と極秘婚で地元後援会が「報告ない」と絶句
NEWSポストセブン
「●」について語った渡邊渚アナ
【大好評エッセイ連載第2回】元フジテレビ渡邊渚アナが明かす「恋も宇宙も一緒だな~と思ったりした出来事」
NEWSポストセブン
三笠宮妃百合子さま(時事通信フォト)
百合子さま逝去で“三笠宮家当主”をめぐる議論再燃か 喪主を務める彬子さまと母・信子さまと間には深い溝
女性セブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン