学校に自分の居場所を見つけられず、学校に通うことがつらい、または合わないという子供たちが集う場所、それがフリースクールだ。そこは学校教育の枠にとらわれない自由な学びの場であり、彼らにとって安心して成長できる居場所でもある。
フリースクールとは民間の教育機関で、文部科学省の認可なく設立することができるため、団体形式はNPO法人、親の会や市民団体、株式会社などがあり、スタッフも元教員や親、フリースクールのOB・OGなどと幅広い。多くは通所型だが、合宿施設が併設されているところもある。いずれも子供が自分の居場所として安心できることが前提だ。
現在、学校を30日以上休んでいる不登校児は小・中学生合わせて約12万人。平成12年度頃から高止まりが続く。最も不登校が多い中学生では、38人に1人、つまりほぼクラスに一人は不登校という状態だ(昨年のデータ)。
こうした現状を受け、文部科学省も2002年頃から全国の学校にスクールカウンセラーを置くなどの対策を取り始めた。しかし、こうした対策は、「学校復帰」を目的としているため、子供たちは学校以外の選択肢を選びにくい。結果、苦手意識を強めることもあるという。
東京シューレ理事長でフリースクール全国ネットワーク代表理事の奥地圭子さん(71)は次のように話す。
「不登校になる原因はさまざま。いじめや、成績不振などもありますが、なかには自分でも理由がわからないという子も。大人はすぐに原因を知りたがりますが、学校というたった一つの型に子供が全員はまるわけがないのです。
多くの子は自分だけがおかしいと思ってしまいます。『みんな行けるのに、なぜ自分は行けないのか』と劣等感と孤独に悩みます。でも、フリースクールには不登校経験者も多いので、お互いの気持ちがよくわかり、本当の仲間と思える友人にも出会えます。私たちは学校以外の選択肢を作り、その子の気持ちを尊重し、自分らしくいられる場所を作っているのです」
1992年に文部省(当時)から出された通達で、フリースクールに通った日数を出席扱いできるようになった。また、多くのフリースクールで高校卒業認定試験取得の勉強や、通信制の学習サポートを行なっており、高校卒業資格を取得できる。フリースクール卒業後も、進学や就職などそれぞれの道を歩んでいけるのだ。
※週刊ポスト2012年11月23日号