国内

修道女 パソコン使える人少なく清貧追求し今でも黒電話使う

 ノートルダム清心学園理事長の渡辺和子さん(85才)が、修道女(シスター)として学んだことをまとめた『置かれた場所で咲きなさい』(幻冬舎)がベストセラーになっているが、修道女たちは実際にどのような生活をしているのだろうか。

 修道女への道は一朝一夕ではない。一般的には、まず1年間以上の教会通いから始まり、その後、洗礼を受ける。一般信徒として数年間活動した後、教会の神父様に相談しながらいくつかの修道院を訪ね、“就活”のようにいわば“シス活”して自分にあった修道院を探す。

 宗教学者の島田裕巳さんが解説する。

「修道院に入ってからも、すぐに修道女となるわけではありません。共同生活に慣れるための『志願期』が数か月から3年、修道服を身につけて精神鍛錬する『修練期』が2年ほど。修練期が終わると、前述の3つの誓いを立てて、ようやく修道女になれます」

 一度、修道女になると、さまざまなルールを守らなければならない。個人で財産を持つことは禁止、観想修道会では外出にも上長の許可が必要。見習いのうちは、その不自由さに苦しむこともしばしばだという。

 修道女を目指したものの挫折した経験のある、30代女性の話。

「両親がクリスチャンで、教会に通い、自然とシスターを目指すようになりました。でも、高校・大学生活で多くの楽しみを知ってしまったので、その要素が全くない修道院の生活とのギャップに苦しみました。自由に買い物に行ったり、飲みに行ったりもできません。金曜日は受難の日とされ、小斎(お肉を食べない)を守る。すぐにホームシックになってしまいました」

 毎日のお祈りに休みはない。親やきょうだいにもほとんど会えなくなる。

「かつては、修道会に入る時はそれこそ親子の縁を切りました。今はそこまでしませんが、帰省が許されるのは年に1度ぐらいです」(島田さん)

 修道院での共同生活はかつて相部屋だったが、今はほとんどが個室。リビングにはテレビやパソコンなども置いてあり、食事後にくつろぎながら、みんなでテレビを見ることもある。それでも世俗と離れて生きているため、やはり最新の機械は苦手という人も。

 自らも洗礼を受けたクリスチャンで、修道女たちへのインタビュー取材をしている、ライターの渡辺麻実さんはこう語る。

「何十年も修道院生活を送ってきた年配の修道女は、パソコンの操作方法を知らないという人が多いですね。最近はホームページをつくる修道院も増えていますが、実際にパソコンを使える修道女は、院のなかでも少ないところが多いでしょう」

 仕事などで必要な場合は携帯電話を持つことも認められている。しかし、世間の暮らしと離れ、瞑想することが中心の修道院などでは、誓いのひとつである“清貧”を厳格に追求。モノを大事に使い、今も黒電話を使っている修道院もあるそう。

※女性セブン2012年11月22日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

女性との間に重大トラブルを起こしていたことが判明した中居正広
「田原俊彦、植草克秀を収録済み」中居正広『だれかtoなかい』が早期打ち切り危機…空白埋める「毒舌フリーアナ」
NEWSポストセブン
新年一般参賀では、午前と午後合わせて5回、宮殿のベランダに立たれた(2025年1月、東京・千代田区。撮影/黒石あみ)
一筋縄ではいかない愛子さまの結婚問題 お相手候補に旧宮家の男系男子を推す声がある一方、天皇陛下が望まれるのは“自然に惹かれ合った形で”
女性セブン
2024年12月13日の事始め式では青いストールを巻いて現れた
《六代目山口組・司組長のファッションに注目集まる》原点は「チョイワル」コーディネート、海外高級ブランドを外商で取り寄せ、サングラスは複数用意して全身グッチ
NEWSポストセブン
巨人入団が決まった田中将大(時事通信)
巨人入りの田中将大は200勝達成できるか 平松政次氏「10勝できる」江本孟紀氏「申し訳ないけど3つ勝つのも大変」【2025年のプロ野球界を占う】
週刊ポスト
中居正広の女性トラブルに全く触れないテレビ局 
中居正広の深刻トラブルに全く触れないテレビ局 ジャニー氏性加害問題で反省したはずなのに…騒動が風化するのをじっと待つ“不誠実”
女性セブン
乗客乗員181人のうち179人が死亡するという韓国の旅客機事故で最大の被害となった
韓国機事故で179名が死亡、2人の生存者が座っていた“生還しやすい座席” 相対的には「前方より後方」「窓側より通路側」「非常口付近」
女性セブン
一生に一度の思い出の晴れ着になるはずだった(写真提供/イメージマート)
《「二十歳の集い」晴れ着トラブル》各地で発生していたヤンキー衣装を巡るトラブル「サイズが合わないピンク色の袴を強制」「刺繍入り特攻服を作らされた」
NEWSポストセブン
現在
《3児の母親となった小森純》「社会に触れていたい」専業主婦から経営者を選んだ意外な理由、タレント復帰説には「テレビは簡単に出られる世界じゃない」
NEWSポストセブン
サプライズでパフォーマンスを披露した松本(左)と稲葉(「NHK紅白歌合戦」の公式Xより)
B’z紅白初登場「7分54秒の奇跡」が起きるまでの舞台裏 「朝ドラ主題歌以外は好きな曲で」のオファーに“より多くの人が楽しめるように”と2人が選曲
女性セブン
女性との間に重大トラブルを起こしていたことが判明した中居正広
《スクープ続報》中居正広、深刻女性トラブルの余波 テレビ局が収録中止・新規オファー取りやめ、『だれかtoなかい』の代役にはSMAPメンバーが浮上
女性セブン
俳優
《第1子男児誕生の仁科克基》「僕は無精子症でした…」明かした男性不妊の苦悩、“心も体も痛い”夫婦で乗り越えた「妊娠18カ月生活」
NEWSポストセブン
「海老名きょうだい3人死亡事件」の犯行現場となった一家の自宅
《海老名きょうだい3人死亡事件》子煩悩だった母が逮捕 残された父が重い口を開いた「妻は追い詰められたんだと思います」「助けられなかった」…後悔の念
女性セブン