民主党は、衆議院ではあと6人離党すると過半数割れという危機的状況にある。いまや民主党の議員や職員の関心は、党をいかにして立て直すかではなく、この泥舟からどのように脱出するかに移っている。
民主党秘書会は例年、年末に「視察」という名の慰安旅行を行なっており、今年は12月に栃木県日光への温泉旅行を企画していた。だが10月末、「国会情勢に鑑みて中止する」(秘書会)ことになった。
実は民主党秘書たちは、“就職活動”に忙しく、旅行どころではないのだ。民主党には、前回の政権交代の際、自民党議員の落選によって職を失った元自民系の秘書が多く在籍している。彼らが、自民党への出戻りを画策しているのだ。
「自民党の大物議員に付いていた女性ベテラン秘書はその議員が引退した後、民主党議員の秘書になっていたが、最近になって自民に出戻りして、いまは若手議員の事務所にいる。もともと自民出身の秘書は即戦力で需要もあるので、選挙前に移ったほうが得策だと就職活動に精を出している秘書も多い。12月にボーナスが出るので、それをもらったあとに大量離脱するかもしれない」(元民主党秘書)
総選挙で議員が落選すれば、秘書は自動的に職を失う。それゆえに彼らの行動には同情の余地があるが、これが国会議員の場合はどうだろう。
自民党に近い政治ジャーナリストは、ある民主党衆院議員から驚くべき打診を受けたと告白する。
「相談があるというから会ったんです。彼は関西を選挙区としているんですが、維新、公明、自民の三つ巴に挟まれて非常に苦しい情勢にあるという。そこで、『民主党ではなく、自民党から公募で出られないか。ついては自民に顔を繋いでほしい。公募に落ちたら民主で出る』というんです。一応、自民の議員に紹介はできるといったけど、内心はそんなことが有り得るのかと耳を疑いました」
※週刊ポスト2012年11月23日号