神戸校に約120名、全国に約300名の塾生をもつ「師友塾」。“カリスマ塾長”と呼ばれる大越俊夫さん(69)が創設してから38年、これまでに7000人を超える不登校児や中退生を受け入れ、世に送り出してきた。
「不登校は世間からは落ちこぼれといわれているが、とんでもないこと。逆にいえば不登校の生徒がまっとうで優秀なんです」と大越さん。戦後の教育の問題点は「人間教育をしていないこと」だと断言する。
「父母たちも、“じゃあどうすればいいの?”と必ずハウツーを聞いてくる。根本から物事を考えていないんです。何のために勉強して大学にいくのか、人生そのものを考え、芯のある人間になることが最も大切。ところが今はみんな生活のために生まれて死んでいく。安定した豊かな生活を手に入れるために教育をする。これでは主客転倒です」
年に10回、8種類もある合宿は、大自然と触れ合ったり、農作業や和太鼓を体験したり、勉強合宿をしたりとバラエティに富む。
「農作業をして土に触れ、和太鼓を叩いているうちに、子供たちはどんどん元気になっていく。何のために今日頑張るかを、彼らは体でつかむんです」
さらに姉妹機関ではアメリカのシアトル郊外にあるセントマーチンズ大学にオフィスを持ち、すでに500名の卒業生を輩出している。こうした経験がその後の人生に直結するのも師友塾ならではの特徴。淡路島の農場ではすでに10名近くの元塾生が就業。北海道の広大な土地の開拓にも着手している。小学生からの英語教室も東京と兵庫で開き、留学経験のある元塾生が講師として働いているという。
※週刊ポスト2012年11月23日号