美人女芸人の先駆け的存在だった春やすこ(51才)。NHKの朝ドラ『カーネーション』に出演するなど、女優としても活動中だが、プライベートでは76才の母と80才の父の自宅介護と向き合い日々を送っていた。これまで決して語ることのなかった両親介護の実態とみずからの胸の内、その全てを明かしてくれた──。
「父はもう全然動けなくなって、お風呂もトイレも自力ではできません。今は肺炎で入院中ですが、こんなこと言うと、父には悪いんですけど、病院にいてくれてる時のほうが私は楽なんですよ」(春やすこ、以下「」内同)
春の父は18年前に胃に腫瘍ができて以来、多くの病に悩まされていた。脳出血、腹部大動脈瘤、急性心筋梗塞、肺炎、胆石症…。
春は現在の自宅に引っ越す前は、実家からほど近いマンションで暮らしていたため、何かあるとすぐに電話で呼び出されていた。そして9年前、現在暮らしている3階建ての一戸建てを建てる際、両親と同居することを決めた。
「父は脳梗塞の後遺症で、10年以上も前から右半身が不自由で、母も肺が悪くて酸素のタンクを持ち運んで生活をしていました。だから、息子が『おじいちゃん、おばあちゃんが心配やから一緒に住んだら』と言うてくれたんです。
主人も何の抵抗もなく『そうやな!』と賛成してくれました。普通、家建てるっていうたら、主人は長男やし、自分のとこの両親と一緒に、ってなるのに。今から考えても、主人がそう言ってくれてずいぶん助けられましたね」
3階建ての自宅は1階が両親の部屋、2階がリビングキッチン、3階がやすこ夫妻と子供たちの部屋となっている。
両親と同居を決めた際に、夫には「両親の面倒は自分が見るから」と春は約束していた。しかし、同居から7年。予想もしなかった事態が起きる。
「2年前、父が階段から落ちてしまったんです。それまでは左半分の力で、歩くことができたので大体のことは自分でやっていたんですが…。そこからはもう全然動けなくなって、トイレにも行けなくなり、おむつになってしまったんです。父は最近、少し痩せましたが、それでも174cm・70kgもあってすごく重いんですよ。ベッドから起こしたり、車椅子に乗せたり、それだけで私も腰を痛めてしまいました…。
でも、私は自分の親やから、主人に何かしてもらおうとは思ってませんでした。一生懸命に仕事を頑張ってくれて、生活を不自由なく支えてくれているからこそ、介護ができるので。でも、主人は帰ってきたら、必ず両親たちの部屋を覗いて『元気かぁ』って声をかけてくれます。それだけでも本当にありがたい。
息子は車椅子に乗せてくれたり、娘は両親の部屋に行って、長い間話し相手になってくれたり。私にはできない“介護”をしてくれます。ただ、やっぱり下の世話は自分がやりますね。子供たちには気持ちがあるんですけど、たとえば、将来、『介護士になりたい』とかいうんだったら別ですが、これから伸びていく若い子に、年寄りのお尻のことはさせたないなというのが私にはあって…」
父の介護に懸命な日々を送っていたが、さらに大きな問題が起きてしまった。今年5月、母が自転車で転倒し、大腿骨を骨折してしまったのだ。
「入院して大腿骨に人工関節を入れる手術をしなくちゃいけなくなって…。手術は無事成功したんですが、今度は、腎臓が悪くなって人工透析が始まったんです。退院してからは、何とか自分の部屋からトイレまでは歩いて行けますが、それが精一杯。これまで父の介護は母も手伝ってくれてたんですが、今は私が2人を看てるんです」
施設に預けることはもちろん考えた。しかし、両親も嫌がったし、何より費用の折り合いもつかなかった。
「自宅での介護は、父と母の年金をあわせて月15万円でやりくりしてるんです。施設やと、たとえば1人月18万円もかかる。とても無理なんです」
※女性セブン2012年11月29日・12月6日号