12月16日に投票が行なわれる総選挙の焦点は第3極の動向だが、これに頭を抱えているのがNHKだ。党首討論番組に関わるスタッフが明かす。
「討論番組ではすべての党に公平に時間を割り振らなければならない。1人の発言を1分にしても、1時間番組では質問を4回しかできない。これでは討論になりません」
第3極ブームの中、日本維新の会、みどりの風など、続々と政党要件(国会議員5人以上)を満たす新党が誕生したため、国政政党は実に14を数えた。順番に1分ずつ喋るとなれば、司会者の質問さえままならない。
「これ以上政党が増えたら番組が破綻する。民放なら小政党の発言時間を短縮することもできるが、公共放送では無理ですし、番組の時間そのものを拡大しなければならなくなる」(同前)
法律で放送が義務づけられている政見放送も大変だ。比例区の場合、各党1回9分の枠が与えられ、名簿登載人数に応じて公示期間に2~8回の放送を行なう(東京と北関東は一部を民放が担当)。
それとは別に小選挙区候補者の放送も行なわれるため、政党乱立のうえに各党がかなりの候補を擁立すると見られる今回の選挙では、「通常番組枠を潰さないと放送しきれない。それに深夜帯や教育テレビで放送すると、その政党から“公平さに欠ける”とクレームがつくからその対応も頭が痛い」(NHK関係者)という。
※週刊ポスト2012年11月30日号