テレビを見過ぎるのはよくない、とはよく言われる話だが、実際に脳や体にどんな影響があるのだろうか――『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)でお馴染みの脳科学者・澤口俊之氏が脳科学の視点で分析する。以下は澤口氏の解説だ。
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日本にテレビが普及し始めたころ(1950年代後半)、「テレビのような受動的なメディアは、思考力や想像力などを働かせないため、国民の知的能力を低下させる」という批判がさかんに行われました。
もちろん、テレビによって日本人の知的レベルが低下したという証拠はありません。ですが、テレビが脳や体にいい影響をもたらすというデータもほとんどなく、逆にテレビの悪影響に関する論文はたくさんあります。
そのひとつに「肥満」に関係するものがあります。みなさんは驚かれるかもしれませんが、テレビを見すぎると肥満になりやすいという趣旨の論文は多数あります。
特に子供は、テレビの視聴時間が長いと、家にこもって動かないため、さまざまな発達に影響を及ぼし、肥満児になりやすくなります。また、子供のころの肥満は成人以後の肥満のリスク要因になります。
そして「寿命」との関係です。25才以降にテレビ視聴時間が長いほど寿命が短くなるという研究報告があり、1日平均6時間テレビを見る人は、全く見ない人に比べ、4.8年寿命が短くなるといいますから、テレビを見るのが恐ろしくなりますね。
ただ、この「肥満」も「寿命」も、テレビ視聴自体の問題ではなく、実は「座っている時間」が問題なのです。座位時間が長いほど死亡リスクが高く、また座位時間が長いことによる悪影響はその分運動しても軽減しません。座っていること自体が、健康上問題になるといえます。
※女性セブン2012年11 月29日・12月6日号