がん細胞を含む体内の細胞は、凍らせれば死滅する――そんな細胞の性質を利用した治療法が「凍結療法」。1981年に脳卒中を抜いて1位になって以降、がんは日本人の死因トップだけに、なんとも画期的に思える治療法だが、本治療の日本のパイオニアである、KKR札幌医療センター斗南病院放射線診断科科長の清水匡さんに、具体的な治療の方法を聞いた。
「先端に針がついた冷凍手術器『CryoHit(クライオヒット)』を使い、がん細胞に直接針を刺して冷凍用のアルゴンガスを送り込みます。MRIのモニターを見ながら施術するため、ミリ単位の正確さで針を刺すことが可能です。2cmの腫瘍ならだいたい3本の針を刺せばOK。刺したまま15分間ガスを送って5分休み、また15分ガスを送ったら針を抜く。手術はこれでおしまいです」(清水さん、以下「」内同)
がん細胞を含む体内の細胞のほとんどが-20℃で死滅し始め、-40℃で即死することから、がん細胞に針を刺してアルゴンガスを送ることで凍結→死滅させる。先端に針が付いた冷凍手術器『CryoHit』とMRIを併用することで、がん細胞に正確に針を刺すことが可能。
針を刺すために局所麻酔はするが、凍結中は無痛。施術の翌日にはもう退院できるという。凍らせたがんは、数か月から1年を経ると体内で自然に消滅するというから、驚きだ。
細胞を冷凍しても体にダメージを負うことはないため、がん細胞がなくなるまで、何度でも手術を受けてもいいともいう。
「86才の腎がんの患者さんが手術の翌日にピンピンしながら歩いて帰る様子は、治療した私自身、“あの人本当にがんだったっけ?”と思うほど。まるで魔法の治療です」
腎臓がん、肝臓がん、乳がん、子宮筋腫などのがんに有効だという。
※女性セブン2012年11月29日・12月6日号