ビジネスホテルには、出張旅費を削られているサラリーマンに嬉しいサービスがある。
都内の中堅商社に勤務する出張族の男性会社員はこう話す。
「昔は会社から支給される宿泊費が定額支給だったから、安いところに泊まって差額をお小遣いにしていたが、最近は1万円以内の実費精算で、領収証も出さないといけない。おのずと領収書の範囲内で、サービスのいいビジネスホテルを選んで泊まるようになりました」
多くのビジネスホテルでは、こうした利用客に目をつけ、宿泊客に「Quoカード」を付けるサービスが、いま人気を呼んでいる。
店舗によって差があるが、例えばホテルに1万円請求された場合、宿泊費は5000円で、残りの5000円分はQuoカードとしてホテルからキャッシュバックされるというもの。カードはコンビニなどで雑誌やお弁当を買うなど自由に使える。
同様のサービスでは「東横イン」の、1000円、2000円、3000円のVJAギフトカード付きセットプランが人気だ。
「宿泊費として、ギフトカードを交通費やお土産代、食費に利用していただいています」(広報部)
ただ、最近は会社側もこのサービスに気づいてきた。ホテル業界関係者が語る。
「こうしたサービスをするホテル側にクレームをつけたり、そうしたプランを利用しないよう通達を出すところもあると聞く。だがこれは、今後もあの手この手の顧客サービスで売りがなければ生き残りの難しいビジネスホテル業界だからこその工夫なんですが(苦笑)」
※週刊ポスト2012年11月30日号