核家族化、少子化、故郷と現在の居住地との距離……、お墓の問題に頭を悩ませている人は少なくない。孤独死なども増え、死の形が変わりつつあるなか、『墓は、造らない』(大和書房)の著者で宗教学者の島田裕巳氏は「こんな人、こんなケースが増えています」と、指摘する。
●都会に出た。実家とは疎遠、いまさら故郷の墓には入りにくい。
●家族(夫、妻、子どもら)と不仲だ。同じ墓に入りたくない。
●東京に出た倅が、故郷の墓に入らず、ヨメや子と新しい墓にするという。先祖代々の墓はどうなる。
●葬儀や埋葬、墓におカネをかけられない。死ねば、火葬場に直接送る〈直葬〉にしたい。
そして島田氏はこのように語る。
「核家族化、高齢化が進み、死亡者が増え、毎年40万人の墓が要る。やがて墓の数が人口を上回る。しかも、死者が生者を振りまわし、苦しめている。そんな状況が、いま日本にあふれているのです。墓はほんとうに家のシンボルか。
墓はなぜこれほど高額か。そもそも墓は不可欠なものか。社会の意識は変化し、論ずべきことはたくさんあります。墓はいらない、父母のお骨はペンダントにという人もいる時代なのです」
※週刊ポスト2012年11月30日号