国内

元共産党議員 与党復帰睨み総裁選に出た安倍氏は世渡り上手

 電撃解散に新党乱立、連日報じられる選挙サプライズ。だが、政治を知り尽くした村上正邦氏(元自民党参院議員)、平野貞夫氏(元民主党参院議員)、筆坂秀世氏(元共産党参院議員)は呆れ果てていた。3人が「こんなの政治といえるか、選挙といえるか!」とばかりに緊急鼎談する。

 * * *
平野:野田(佳彦)首相の党首討論での解散宣言は大きな話題になり、野田首相の評価は上がっている。しかし、私にいわせれば、議員定数が違憲状態のまま、民自公3党だけで解散を決めたというのは、“狂気の談合テロ解散”ですよ。定数是正の約束をしたからといって、是正しないまま総選挙をやるわけで、それで選ばれた議員が法律を作っても違憲になりかねない。日本で120年続く議会政治におけるもっとも重大な事件です。

村上:最高裁は違憲にして違法状態だと。もはや立法府じゃなく脱法府だ(笑い)。

筆坂:まあ、そうはいっても政治というのは生き物で、現実に向き合わなければいけないからね。私は野田首相と安倍(晋三)さんのあの論戦はすこぶる面白かったな。野田首相の完勝で、大したもんだと見直した。

村上:それに比べて、だらしなかったのが安倍さん。仮にも総理経験者なんだから、予想外の展開でも咄嗟に判断して反撃すべきなのに、動揺してうろたえていた。腹が据わってない。やっぱり二世議員だなと。

平野:いや、二世じゃなくて、三世、三世(笑い)。

村上:ああ、そうか。どっちにしてもお坊ちゃんだな。安倍さんは病気で政権を放り出した後、新薬のおかげで助けられたといっているが、薬で健康を維持するなんて以前に、命を投げ出してでも国のために、という奉仕の気持ちがないとダメ。彼にはその覚悟がない。

筆坂:安倍さんは首相を投げ出したことにけじめをつけなかったのが一番の問題。もう一つ気に入らないのは、自民党が下野したときに総裁選に出なかったこと。一番大変な野党のときに手を挙げず、与党に返り咲きそうになったら急に総裁選に出て総理になろうなんて世渡りがうますぎる。

【鼎談参加者】
●むらかみ・まさくに:1932年生まれ。1980年に参議院議員初当選。自民党国対委員長、労働大臣、参議院自民党幹事長、参議院議員会長を歴任した。

●ひらの・さだお:1935年生まれ。衆議院事務局に務めた後、1992年に参議院議員初当選。自民党、新進党、自由党、民主党を渡り歩いた。

●ふでさか・ひでよ:1948年生まれ。日本共産党入党後、1995年に参議院議員初当選。党中央委員会常任幹部委員、書記長代行などを務めた。

※週刊ポスト2012年12月7日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

再ブレイクを目指すいしだ壱成
《いしだ壱成・独占インタビュー》ダウンタウン・松本人志の“言葉”に涙を流して決意した「役者」での再起
NEWSポストセブン
名バイプレイヤーとして知られる岸部一徳(時事通信フォト)
《マンションの一室に消えて…》俳優・岸部一徳(77) 妻ではないショートカット女性と“腕組みワインデート”年下妻とは「10年以上の別居生活」
NEWSポストセブン
ラフな格好の窪田正孝と水川あさみ(2024年11月中旬)
【紙袋を代わりに】水川あさみと窪田正孝 「結婚5年」でも「一緒に映画鑑賞」の心地いい距離感
NEWSポストセブン
来春の進路に注目(写真/共同通信社)
悠仁さまの“東大進学”に反対する7000人超の署名を東大総長が“受け取り拒否” 東大は「署名運動について、承知しておりません」とコメント
週刊ポスト
司忍組長も傘下組織組員の「オレオレ詐欺」による使用者責任で訴訟を起こされている(時事通信フォト)
【山口組分裂抗争】神戸山口組・井上邦雄組長の「ボディガード」が電撃引退していた これで初期メンバー13人→3人へ
NEWSポストセブン
『岡田ゆい』名義で活動し脱税していた長嶋未久氏(Instagramより)
《あられもない姿で2億円荒稼ぎ》脱税で刑事告発された40歳女性コスプレイヤーは“過激配信のパイオニア” 大人向けグッズも使って連日配信
NEWSポストセブン
俳優の竹内涼真(左)の妹でタレントのたけうちほのか(右、どちらもHPより)
《竹内涼真の妹》たけうちほのか、バツイチ人気芸人との交際で激減していた「バラエティー出演」“彼氏トークNG”になった切実な理由
NEWSポストセブン
ご公務と日本赤十字社での仕事を両立されている愛子さま(2024年10月、東京・港区。撮影/JMPA)
愛子さまの新側近は外務省から出向した「国連とのパイプ役」 国連が皇室典範改正を勧告したタイミングで起用、不安解消のサポート役への期待
女性セブン
第2次石破内閣でデジタル兼内閣府政務官に就任した岸信千世政務官(時事通信フォト)
《入籍して激怒された》最強の世襲議員・岸信千世氏が「年上のバリキャリ美人妻」と極秘婚で地元後援会が「報告ない」と絶句
NEWSポストセブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン