果たして次期解散総選挙はいかなる展開になるのか――。国民の関心は高まっているが、政治を知り尽くした村上正邦氏(元自民党参院議員)、平野貞夫氏(元民主党参院議員)、筆坂秀世氏(元共産党参院議員)は呆れ果てていた。3人が「こんなの政治といえるか、選挙といえるか!」とばかりに緊急鼎談する。
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村上:石破(茂・自民党幹事長)、あの顔見てごらんなさいよ。あの目線、ものの言い方。不快に思わない、あれ?
筆坂:うちの女房もいいますよ、石破がどんなにいいこといっても「あの顔だけは嫌だ」と(笑い)。
村上:自民党でよくあのポストまでいったよ。彼は防衛に通じていると持ち上げられているが、いうほどでもない。私は昔、防衛政務官を務め、防衛族などとも呼ばれたりしたが、防衛族だったら誰でもあれぐらいのことはいえるよ。
私らの時代は“分をわきまえる”という姿勢があって、昔は安倍(晋三・自民党総裁)さんや石破さんのレベルの人たちは総裁選に出なかった(爆笑)。
平野:私は安倍さんのお父さん(安倍晋太郎氏)にはお世話になったんだけど、子供さんに苦労をさせてこなかったことを気にしてましたよ。石破さんとは新進党で一緒にいたことがあって、政治家としての心構えを聞かれたこともある。
結局、2人に共通しているのは、人間というものを掴んでいないということ。人の苦しみ、涙、汗、血というものをわかっていない。これは二世議員だからというわけではなく、野田さんにしても菅(直人)さんにしても、与野党限らず、今の政治家は政治家になっちゃいけない人がなっている。
筆坂:しかし安倍さんは維新に甘い。大自民党の総理経験者が、なぜポッと出の政党に媚びへつらうのか。プライドはないのかと。石破さんは維新に媚を売らなかったという点については評価している。
平野:いや、石破さんは橋下(徹)さんに一番近くて、この2人、仲がいいですよ。「政策的に同じだ」と気を遣った発言もしている。
筆坂 なんだ、そうなのか。じゃあ、取り消しだ(笑い)。
【鼎談参加者】
●むらかみ・まさくに:1932年生まれ。1980年に参議院議員初当選。自民党国対委員長、労働大臣、参議院自民党幹事長、参議院議員会長を歴任した。
●ひらの・さだお 1935年生まれ。衆議院事務局に務めた後、1992年に参議院議員初当選。自民党、新進党、自由党、民主党を渡り歩いた。
●ふでさか・ひでよ 1948年生まれ。日本共産党入党後、1995年に参議院議員初当選。党中央委員会常任幹部委員、書記長代行などを務めた。
※週刊ポスト2012年12月7日号