入院した時に、医者よりも家族よりも長い時間をともにするのが看護師である。しかし、良い看護師か悪い看護師かを判断するには、「実際に病院に行かなければわからない」という人も多いだろう。
そこで今回は、「良い看護師に巡り会える病院」の見分け方として、看護師専門の求人サイトを取り上げる。一般企業では「人事・採用」がその会社の質を客観的に判断する材料になっているが、それは病院でもまったく同じように当てはまるからだ。
現役看護師で作家の宮子あずさ氏と、看護労働に詳しく『看護崩壊』の著書もある労働経済ジャーナリストの小林美希氏の両氏に、良い看護師と巡り合えるチェックポイントを挙げてもらった。
【休みは「4週8日以上」で「祝日休」か】
求人サイトでは、ほとんどの病院が、「残業」と「休日」について記している。もちろん「給与」も重要だが、働き先を探す看護師にとって最も重視されるのが、「残業」と「休日」である。
きちんと休みが取れている看護師のほうが、余裕をもって看護に当たれることはいうまでもない。この点について、宮子氏は、サービス残業を強いる病院も少なくないため、「休日」の多さを見るほうが良いと指摘する。
「基本的には『4週8日以上』で『祝日も休み』という病院が好ましい。『4週8日以上』でも祝日をそこにカウントする病院もあるからです」
また、有給休暇の消化率の高い病院のほうがベター。求人サイトには「初年度10日、消化率○%」と、有給休暇の消化率まで明記している病院もあるので参考にしたい。
「出産・育児・介護休暇」がきちんとある病院は、看護師の定着率が高くなるため、1人の患者を同じ看護師が長く担当するという安心感が生まれる。
【「託児所」は必須】
出産のために一時仕事をやめる看護師は多いが、託児所のある病院なら職場に復帰しやすい。
「院内保育所がある病院ももちろん良いですが、学童保育まであれば、子供が小学生になっても通わせられますから、看護師にとってより良い環境といえます」(小林氏)
こうした病院には、経験を重ねたベテラン看護師が多い可能性が高い。小林氏が続ける。
「ベテラン看護師になると、“目利き”ができるようになるんです。看護師が異変に気づければ、医師の負担も減りますから、良いサイクルが生まれます」
【「男性看護師」の募集もチェック】
「病院内の移動やトイレ、入浴の介助など、男性看護師がいれば安全性が高まりますし、患者としても気兼ねが少ない。その分、女性の看護師の負担が減ることにもつながります。また、昔は男性の医師が女性の看護師を支配するという感覚が当たり前のようにありましたが、男性看護師がいることで病院全体がオープンな雰囲気になる」(宮子氏)
最近では男性看護師専門の求人サイトもあるので、それも病院選びの参考になりそうだ。
※週刊ポスト2012年12月7日号