今回の総選挙で「業界内代理戦争」の様相を呈しているのが航空業界だ。民主党政権下で、法人税減免をはじめとするバックアップを受けてきたJAL(日本航空)に対して自民党は厳しい視線を向けている。
JALが2000億円の営業利益(平成23年度)を発表した直後の今年7月、自民党の国土交通部会では、「減免された法人税の一部を返納せよ」との声が上がり、同様の国会質問も行なわれた。自民党議員秘書が明かす。
「JALの決算発表の直後から、ANA(全日本空輸)の幹部が資料をもとに“JALの優遇は不公平だ”という説明を繰り返していた」
JALが免除された法人税は、国交省試算によれば9年間で3110億円。その返納を求められれば、経営は再び悪化するのは間違いない。JALは「納税者が自主的に返上できるものではないと理解している」(広報部)と答えるが、返納を免れたとしても、これからの経営には「新政権の圧力」がかかりそうだ。
加えてJALには「地方便の運航要求」も予想される。JALは経営破綻後、経営効率化のために不採算路線の撤退・縮小を次々に行なってきた。
「有力者に地方出身議員が多い自民党から、“利益が出ているなら、地方にもっと飛ばせ”という声が出てくるのは必至と見られている。そうなれば、JALの経営は昔に逆戻りしかねない」(航空業界関係者)
※週刊ポスト2012年12月21・28日号