視聴率合戦に明け暮れるテレビ局にとって、1年を締めくくる総決算となるのが大晦日だ。もちろんNHKの『紅白歌合戦』というお化け番組がある以上、民放各局は苦戦を強いられる。しかし各局はプライドをかけて番組編成に臨む。通常よりも注目度が高い大晦日で民放トップをとれば、視聴者やスポンサーへのアピールは大きいからだ。そんな「運命の日」にもかかわらず、「勝負を投げたか……」という声が相次いでいるのがフジテレビだ。
同局は、今年の大晦日特番を『アイアンシェフ 大晦日決戦スペシャル』(仮題)に決定したのだが、局内は早くもあきらめムード。『アイアンシェフ』は、かつての超人気番組『料理の鉄人』のリバイバルで、今年10月に鳴り物入りでスタートしたが、「超」のつく低空飛行が続いている。
番組開始前は「10%は固いだろうと見ていた」(あるフジ幹部)はずが、視聴率10%を超えたのは初回放送のみで、11月30日にいたっては5.7%。打ち切りすら考えられる数字にもかかわらず、なぜか大晦日に大抜擢されたのである。これにはすでにあきらめ顔の社員も多数。
「なにしろ夕方6時から11時45分までぶっ続けの放送ですからね。この番組がコケたら、大晦日の視聴率は壊滅的な状況になる。去年は『爆笑そっくりものまね紅白歌合戦スペシャル』という信じられないほどゆる~い番組で大惨敗。特に9時台は4.6%でテレ朝にも負けてしまった。結果的に見れば、これが8年ぶりに日テレに視聴率3冠を奪われるだめ押しになった。これは、またやらかしちゃいますね(苦笑)」(フジ社員)
大晦日スペシャルのウリとしてフジが盛んにPRしているのは、『料理の鉄人』時代に「和の鉄人」としてならした道場六三郎氏がこの日に復活すること。しかし、道場氏見たさに紅白からチャンネルを変える視聴者がそんなに多いとは思えない。それが視聴率アップの原動力になると考えているのなら、あまりに楽天的すぎて恐いほどだ。
※週刊ポスト2012年12月21・28日号