国内

安倍氏と石破氏 過去に尖閣めぐり中国に弱腰外交の経験あり

 2009年の総選挙で民主党が掲げた公約はことごとく反故にされた。社会保障・税一体改革の責任者だった岡田克也・副総理は民主党代表時代の2005年衆院選で「消費税3%増税」を公約に掲げるなど、もともと増税論だった。

 それが2009年総選挙では「消費税は4年間上げない」という公約を「魂のマニフェスト」だと訴え、政権を取って副総理になると、「次の世代のためにも消費税を上げないと財政がもたない」と消費税増税を強行した。

 前原誠司氏は国土交通相時代に「八ッ場ダム」建設中止を打ち出したが、官僚の抵抗で方針を貫けずに建設再開が決まった。その後も建設方針を批判していたが、何の成果も出せなかった。政治的立脚点は「反官僚主導」で一貫しているが、実行力が伴わない。「言うだけ番長」の異名は正しいようだ。

 ただし、有言不実行は民主党政治家だけの問題ではない。

 自民党の安倍総裁、石破幹事長はこの間の尖閣諸島をめぐる日中の外交的衝突で民主党政権の対応を厳しく批判した。特に、菅内閣当時に尖閣に不法上陸した中国人漁民について政府が政治的判断を放棄し、「検察の判断」(当時の仙谷由人官房長官)で不起訴→国外退去させた対応などは批判されて当然である。

 しかし、そもそも2004年に最初に中国漁民が尖閣に不法上陸した際、時の小泉内閣が中国側の反発を恐れて送検さえしないで国外退去処分にしたのが“弱腰外交”の始まりだ。安倍氏は当時の自民党幹事長、石破氏は防衛庁長官で、小泉内閣の対応に連帯責任を負うべき立場にあった。

 威勢のいい国防論を説くのは簡単だが、安倍氏や石破氏には、国民を危険にさらすことなく外交的に中国の尖閣への攻勢を止めさせ、領土を守る覚悟や展望、外交的手腕があるかが厳しく問われなければならない。

●武冨薫と本誌政界特捜班

※SAPIO2013年1月号

関連キーワード

トピックス

すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・Instagramより 写真は当該の店舗ではありません)
味噌汁混入のネズミは「加熱されていない」とすき家が発表 カタラーゼ検査で調査 「ネズミは熱に敏感」とも説明
NEWSポストセブン
電話番号が「非表示」や海外からであれば警戒するが(写真提供/イメージマート)
着信表示に実在の警察署番号が出る特殊詐欺が急増 今後危惧されるAIを活用した巧妙な「なりすまし」の出現
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”の女子プロ2人が並んで映ったポスターで関係者ザワザワ…「気が気じゃない」事態に
NEWSポストセブン
堀田陸容疑者(写真提供/うさぎ写真家uta)
《ウサギの島・虐殺公判》口に約7cmのハサミを挿入、「ポキ」と骨が折れる音も…25歳・虐待男のスマホに残っていた「残忍すぎる動画の中身」
NEWSポストセブン
船体の色と合わせて、ブルーのスーツで進水式に臨まれた(2025年3月、神奈川県横浜市 写真/JMPA)
愛子さま 海外のプリンセスたちからオファー殺到のなか、日本赤十字社で「渾身の初仕事」が完了 担当する情報誌が発行される
女性セブン
MajiでFukkiする5秒前(時事通信フォト)
2年ぶり地上波登場の広末涼子、女優復帰は「過激ドラマ」か 制作サイドも“いまの彼女ならなら受けるのでは”と期待、“演じることにかつてなく貪欲になっている”の声も
週刊ポスト
昨年不倫問題が報じられた柏原明日架(時事通信フォト)
【トリプルボギー不倫だけじゃない】不倫騒動相次ぐ女子ゴルフ 接点は「プロアマ」、ランキング下位選手にとってはスポンサーに自分を売り込む貴重な機会の側面も
週刊ポスト
YouTubeでも人気を集めるトレバー・バウアー
【インタビュー】横浜DeNAベイスターズ、トレバー・バウアー「100マイルを投げて沢村賞を獲る」「YouTubeは第2の人生に向けての土台作り」
週刊ポスト
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん
《ドバイの路上で脊椎が折れて血まみれで…》行方不明のウクライナ美女インフルエンサー(20)が発見、“危なすぎる人身売買パーティー”に参加か
NEWSポストセブン
公開された中国「無印良品」の広告では金城武の近影が(Weiboより)
《金城武が4年ぶりに近影公開》白Tに青シャツ姿の佇まいに「まったく老けていない…」と中華圏のメディアで反響
NEWSポストセブン
女子ゴルフ界をざわつかせる不倫問題(写真:イメージマート)
“トリプルボギー不倫”で揺れる女子ゴルフ界で新たな不倫騒動 若手女子プロがプロアマで知り合った男性と不倫、損害賠償を支払わずトラブルに 「主催者推薦」でのツアー出場を問題視する声も
週刊ポスト
すき家の「クチコミ」が騒動に(時事通信、提供元はゼンショーホールディングス)
【“ネズミ味噌汁”問題】すき家が「2か月間公表しなかった理由」を正式回答 クルーは「“混入”ニュースで初めて知った」
NEWSポストセブン