公務員改革を掲げた民主党政権がシロアリ官僚の言いなりとなっていく間に、官僚たちはこっそり自らの不祥事に「大甘処分」を下していた──。
ジャーナリスト・佐々木奎一氏が霞が関の全省庁に2009~2011年度の3年間の懲戒処分と内部処分(*)について情報公開請求し、懲戒処分755件、内部処分1046件の合計1801件の内部資料を入手した。その中身を精査したところ、人事院基準を無視した処分が次々と見つかった。ここでは文部科学省の甘い処分、報道されていない処分を取り上げる。
文部科学省は懲戒処分が9件、内部処分が5件あった。開示対象となった職員数、つまり母数は2191人である。開示資料に基づき、いくつか不祥事の具体的な内容を紹介する。■は黒塗りだった部分。
・ケースその1
【組織・肩書(処分日)】
文部科学省■■(2009年■月■日)
【内容】
■■にある金庫の中から現金■■円及びキャッシュカードを窃取し、同日■■に窃取したキャッシュカードで現金■■円を引き出し、合計■■円(うち、■■円はATM手数料)を窃取した。
【処分】
停職(3か月間)
・ケースその2
【組織・肩書(処分日)】
文部科学省■■(2011年■月■日)
【内容】
衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノである画像データ■点及び男性の性器及び男女の性交場面を露骨に撮影したわいせつ図画である画像データ■点を自己のパーソナルコンピュータのハードディスク内に記憶・蔵置させていた。
ファイル共有ソフト「■■」を利用し、インターネットを介して、不特定多数のインターネット利用者に対し、前記児童ポルノ画像及びわいせつ図画の画像の閲覧が可能な状態を設定し、もって児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反容疑などで現行犯逮捕され、起訴され、罰金■■円の略式命令を受けた。
【処分】
停職(3か月間)
(*注)国家公務員の処分は大きく「懲戒処分」と「内部処分」に分けられる。懲戒処分は重い順に免職、停職、減給、戒告の4種類。処分に応じて、昇給・昇格、期末・勤勉手当(ボーナス)、退職手当(退職金)などに大きく影響する。一方、内部処分は各省庁の内規で定めただけの処分で訓告、厳重注意、注意の3種類。昇給やボーナスに影響が出るケースもあるが、懲戒処分ほどではない軽微なもの。
※SAPIO2013年1月号